| 第16回 | |
| 再びe-brandingを考える カードウェーブ00.01 |
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| e-brandingについては、この連載でも1度取り上げたことがある。だが、日本のEC関係者は、概してネット上のブランド戦略に無関心だ。海の向こうではネットビジネスは過激なブランド浸透競争になりつつある。今回はネット上でのブランディングについて、再び考えてみよう。 |
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| ●広告費を吊り上げるドットコム企業 かって広告代理店はウェブが登場したとき、もはやマスメディア広告の生きる道はないのか、と本気になって心配していた。だがそれは全くの杞憂に終わった。今や86%のEC企業はオフラインメディアに投資。広告業界は、あたかも神風が吹いたかのようで、ゴールドラッシュの再来だと騒いでいる。結果的にマスメディアにはドットコム企業のurl広告が溢れ、彼らは、一時の日本企業が海外不動産を買い占めたのと全く同様に、ネット広告という「不動産」の買い占めに走っている。 新聞・雑誌業界も笑いが止まらない。日本でも最近は10月一斉スタートとなったオンライントレーディング業界を始め、さまざまなネット企業のマスメディア広告が目に付くようになった。テレビでもurlだけを訴求するCMが登場。状況はやや変わり始めた。だがこんなものは序の口だ。いずれネット企業の広告で溢れ帰る時代がやってくる。 このようにブランド訴求広告が増大する背景には、あらゆるECのマーケティング課題の中で、ブランディングこそ最重要であるという認識が出てきたからだ。 1)アウェアネス確保のステップ:リアルの世界の購買行動論にはAIDMA(購買行動はアテンション→インタレスト→ディザイア→メモリー→アクションというステップを取るという理論)という考え方がある。これをネットに置き換えたものだ。ネットではアテンションといわず、アウェアネス〔認知)という言葉を使うことが多い。まずは認知されなければ話にならないというステップだ。ここではいかにネットプレゼンスを高めるかが、課題となる。従ってブランドを浸透させることがこのステップでの重要課題で、ネットではこのアウェアネス確保に無茶苦茶金がかかるようになってきた。これが巷にurl広告が溢れる背景だ。 2)コンバージョン率向上のステップ:アウェアネスが喚起され、来訪者がサイトに訪れたとする。次に重要なことは、単なる来訪者を購買者に転換させることだ。これをコンバージョン率という。日本では単に「客」と総称しているが、ショッパー(来店者)とバイヤー(購買者)は厳密にわけて考えることが多い。ちなみに、このショッパー→バイヤーのコンバージョン率を見ると〔表)、自動車などは、この比率はわずか2%程度。花やコンピュータなどは比較的高いが、基本的には、ウェブとは情報探しに来る場所だと考えた方が良い。調査結果ではすぐに買う人は1割。37%は調査して「後で買う」そうだから、ウエブ=come to learnの場所であると考えるのが妥当だ。このステップで行うべきことは 3)ロイヤルティを高めるステップ:1度購入した客をリピート客に育てるステップだ。何のことはない、実世界の商売と全く同じだが、ウェブでロイヤルティを高める手法は3つある。1つは one to one等でパーソナルな対応を行うこと。もう1つはポイントなどロイヤルティマーケティングの手法を導入すること。残りがブランドロイヤルティを高めることである。結局。このステップでもブランド戦略こそ重要であるという議論が成立する。 ブランド戦略の重要性は理解して頂いたして、次にその中身に触れてみよう。 ・製品ブランド→名前、ロゴ、デザイン といったことなわけだ。例えば流通業ではあのノードストロームが典型だ。ノードストロームといえば一定のコンセプトやスタイルが思い浮かぶ。だが日本の流通業の最大の弱点はブランドが確立していないことだ。三越、高島屋、ダイエーといってもそれは単なる店名でしかない。それは万人向きの業態ではあるが、そこには消費者に伝えるべきコンセプト、スタイルが内在しない。ノードストロームはネットでも「あのノードストローム」だ。 日本でも百貨店や通販会社がECを展開しているが、いずれも苦戦している。なぜならそこには「ネットで伝えるべきブランド」が根本的に欠けている。結果的に中元・歳暮でお茶を濁すしかない。 ネットでのブランドとは「ソリューション」である。つまり「このサイトは私のどのような不満、不便を解消してくれるのか」「ここはどのような新しい価値を私に提案してくれるのか」である。ここでは単なる名前の浸透だけではなく、「良質の経験」(リッチイクスピアリアンス)が含まれるという解釈だ。 あのアマゾンはブランド名としても秀逸だが、アマゾンを利用すれば、何百万という在庫から商品が選べること、日本で待っていても1週間も経たないうちに届くこと、返品やクレーム処理の体制もなかなか優れていること、次回からは「三石さん用」の書籍を勧めてくれるなどがわかる。これがすべてアマゾンというブランドを形成することになったわけだ。 ネット上でのブランドとは消費者に対するソリューションそのものだということをきちんと理解すべきだ。従って、日本企業が大好きなモールでの例えば「V−Mall」「J-Mall」 それではネットでのブランドが体験を伴うもの、ソリューションを提案するものだという大前提の上で、その中身を解剖してみよう。 1)ブランドの違い:ブランドのdifferentiation(差異)ということである。 2)ブランドの適切さ:ブランドのrelevenceという言葉を使う。このブランドは私に語りかけているのか、ということだ。ユーザーはホームページにたどりつくと、まずこれを判断する。これがいわゆる3秒ルールなのだが、3秒以内に、ここは何をしているサイトなのか、ここでは私はウェルカムなのか、などを瞬時に判断してしまう。ここで「私向きでない」と判断すればどこかに飛んでいってしまう。 3)ブランドの評価:ブランドのesteemという。このブランドはいいぞ!といった評価や知覚品質のことだ。あれはいいぞ!となれば、その情報はデジタル口コミとしてネット中をかけめぐる。 4)ブランドの知識:ブランドのknowledgeという。ブランドの中身、そのサイトのパフォーマンスそのものだ。 以上4つの要素の中で、優先されるものは、「適切さ」も大事だがそれ以上に大事なのは「違い」であり、また「知識」より「エスティーム」が大事だとされる。 例えば知識とエスティームの軸でみれば、この両者の度合いが高いのが、例えばアマゾンやヤフーみたいなサイトだ。一方知識はあるが、エスティームがないのは、例えばリアルの世界でいえばマクドナルドのハンバーガーみたいなもので、どうしても価格競争に陥らざるを得ない宿命を持つ。一方でエスティ−ムはあるが、知識がないサイトはいわばウェブ上のさまざまな新興ブランドだ。まだ海のものとも山のものともわからない。だが可能性を秘めているぞ・・ということで、アメリカではいきなり金が集まったりしている。 ●ブランドビルディングとは 上述の4つの要素はいわばウェブ上でのブランドビルディングの基本概念である。これを各論に直すと、次のような点への配慮が必要だ。ブランドビルディング=ウェブ上でのリッチな体験という前提の上で、必要になるものとは、次の6項目である。 ・コアとなるバリューはきちんと設計されているのか 上記の点からみると、日本の特に既存大手流通業のECサイトはいずれも落第だ。まずは何をしたいかがよくわからない。ナビゲーションは不親切だし、インターラクティブ性も希薄だ。情報量は少なくただ商品は置いてあるだけ。ひやかしでも見る気がしない。 この6条件を満たしているのは、中小電子商店の方が進んでいて、彼らはブランド力がそもそもなかっただけに、ブランドビルディングに必死の努力をしてきた。その差が今顕著に示されているというわけだ。 ●日本企業のすべきこと 先行するアメリカでも決してブランド戦略に優れたサイトばかりではない。あのウォルマートはリアルの世界では創業者サム・ウォルトンの「スマイリーフェース」がトレードマークだが、ネットの世界ではさっぱり面白みがない。あのトイザラスはネットでのソリューションが不明確であるが故にe-toysに喰われようとしている。ネットビジネスには2つの種類のマーケティング担当者が必要で、1つはブランド戦略担当者、もう1つがダイレクトマーケッターだ。だが前者はアクセス数やコンバージョン率には無関心、一方後者はアクセス数や顧客確保にはやたらに熱心だが、ブランドの印象形成には無関心だ、とのレポートを読んだことがある。日本はどちらの担当もおらず、せいぜいアクセス数管理が関心に上る程度。ブランド戦略は全くこれからの課題なのだ。その必要要件をあげておこう。 1)わかりやすいネーミング 10月一斉スタートを切ったオンライントレーディングでは、先にプレゼンスを確保したものが勝者になることは明らかであったが、意外とブランド戦略は地味であったのが残念。 いずれにせよ、ネットでの勝敗はブランド戦略の巧拙で決まるといっても過言ではない。過去5年間は肩慣らし。99年秋からが事実上のEC元年だ。出遅れ企業もブランドにこだわれば、まだキャッチアップできる可能性はある。ネットでは「ブランドがすべて、すべてがブランド」なのだ。 |
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