| 第18回 | |
| インターネットビジネスモデルと業態間競争 カードウェーブ00.04 |
|
| インターネットビジネスが加熱気味だ。事業サイドはとんでもない金が動いている。特に企業間取引のマッチングビジネスがすごい。 ところでインターネットではビジネスモデルが常に話題になる。アメリカのビジネスモデル特許紛争の動きもあり、ビジネスモデルに対する関心がにわかに高まっている。インターネットビジネスの場ではこれは「儲けを生みだすビジネスの仕組み」と解釈されているようだ。一方特許の専門家の間では「ビジネスの仕組みや方法」ととらえられている。ここでは前者の解釈を前提としよう。いわばECにおける業態のようなものだ。 ここにきて、この業態間戦争がすごい。日本ではまだまだだが、アメリカでは消費者が商品やサービスを入手する選択肢がオンライン上だけで多様に広がり始めた。日本のEC関係者は、専門店、モール、最近ではオークションなどが好きなようだが、去年の後半位から、またまた新しい仕組みが登場し始めた。ここで消費者向けECについて、その「業態」を整理してみよう。 |
|
| 1)ポータルEC:
これは1昨年当たりの流行語である。玄関口のこと。ヤフーなどの検索エンジンサイトや、AOLなどの会員を擁するサイトでのECの動きだ。ここにきて、このポータルECに変化が見え始めている。 ただのポータルが総合化を目指すのに対して、バーティカルポータルとは、焦点を絞り強みを明確にしたポータルのことだ。例えば「結婚に関するポータル」「自動車保険ポータル」といった具合だ。これはオンラインコミュニティがEC機能を強化し、ポータル化したもの、あるいは専門店が情報やコミュニティ機能を強化し、ポータル化したもの、2つの流れが主にある。これをテーマポータルととらえる見方もある。ポータル争いは、今後は間違いなくバーティカルをめぐった動きになることが予想される バーティカルポータルに似ているが、人に焦点をあてたもの。リアルコマースでもライフスタイルショップは大人気だが、ネットでも同様の動きがある。 アメリカにはギフトレジストリーという習慣がある。結婚を控えたカップルが、欲しいギフトを店に登録する習慣だ。贈る方は指定店から彼らの希望する商品を贈る。このネット版が続々登場。ギフトレジストリー自体はアマゾン等の単独店でもサービスとして実施している。だが単独店では、欲しい商品の範囲が限定される。そこで複数店を組織化し、売り手と買い手をマッチングする仕掛けが登場した。これをレジストリーポータルと言う。例えばウェディングギフトを専門にするデラウェディングでは、ニーマンマーカス等の高級店を20店程度ラインアップ。ここでカップルは欲しい商品を登録。贈る方はこの情報をメールでもらい贈る仕組みだ。日本の百貨店は情けないECを展開しているが、むしろこの種のビジネスに特化した方が良さそうな気がする。 ご存知日本企業が大好きなビジネスモデルだ。これはもう楽天市場の一人勝ちだ。2番手は三井物産の展開するキュリオシテイ等があるが、テナント数がまるで違う。楽天のようにテナントが2千店にもなってくると、リアルコマースと比べても全く新しい価値の提供が可能だ。2番手もてこ入れを表明したが、テナントのやる気と鮮度がまるで違う。ショップの紹介頁には、最終更新99年3月などと書かれており、ハナから購入意欲がそがれる。総合モールは楽天にまかせ、スペシャルモールへの差別化策を探した方がよさそうである。 モールが弱者連合のキライもあるのに対して、こちらの方は強者連合だ。典型的な事例はショッパーコネクション。日本の逸品もこれに近い。アウトポスト、ガーデンコム、CDNow等既に実績のある専門店が集まり、共同ホームページを作成。共同販促や顧客共有を行っている。これはあまりにプレゼンスの大きいアマゾン対策もあるが、ショパーコネクション自体をブランド化するという意味もある。メンバーに対するステータス付与を狙う戦略だ。 最も初期のビジネスモデルの1つ。品揃えの幅が広くかつ深くかつ安い大型専門店のことだ。典型例はアマゾンやCDNow。 超絞り込み型専門店のこと。ニッチなジャンルを狙い、その分野での深い品揃えを訴求する。アメリカの例では電球ばかり5千種も揃えたbulbs.comの例がある。実店舗で5千種を揃えることはおよそ不可能。商圏人口を考えれば過剰在庫になってしまう。これがネットならば、ニッチであるが故に、全米の需要を吸引できる可能性もある。日本でもペットの中で犬のリトリバーだけに絞ったペットショップや、磁石専門店等の例がある。ただ日本の事例は単なるニッチ店の性格が強く、日本中の需要を吸収するような仕掛けとは少々異なる。 売るだけではない、買うだけではな。い(more than buying)というのがインターネットショップの1つの特徴だ。結果的に情報やコミュニティ機能が充実した店だ。見本はガーデン用品のガーデンコムと玩具専門店のスマーターキッズコム。 遅ればせながら日本もオークションマーケットに火が付き始めた。個人的にはプロセスに時間がかかるこの形はキライである。だがオークションマニアも出現中で、ビジネスモデルとしては最もインターネットらしいものの1つだ。CtoCをビジネスにしたという功績もある。 オークションの逆の形だ。消費者が価格を指定し、業者側がこれに応ずる形。ご存知priceline.comが始めた形だ。目下最大のヒット商品で、時代はリバースオークション一色になりつつある。消費者が価格決定権を含め主導権をもつという意味から「バイヤードリブンモデル」と見る見方もある。 オークションといえば、物品が主体だ。これをサービスに広げた事例が登場。これも一種のリバースオークションだ。家庭内のあらゆる便利屋需要請け負いますみたいなものだ。弁護士等のリーガルサービスから、ペットの散歩、結婚関係、もろもろの修理まで50種位のサービスを掲げている。希望者はここのサイトにアクセスし、ジャンルを選び、希望価格とエリアを入力。これにサービス提供業者が応じる仕組みだ。仕掛けは素晴らしいが、サービスを遂行するためには、エリアごとの膨大な業者ネットワークが不可欠だ。この整備が非常に難しい。 これもリバースオークションの変形のようなものだ。代表例はmobshop(旧アカンパニー)。不特定多数の消費者にある商品の共同購入を呼びかけ、割引価格での購入を可能にする仕組みだ。これも価格決定権、主導権が顧客側にあるバイヤードリブンの1つ。アカンパニーは最近では情報系サイトを中心に仲間づくりを始めており、例えば新聞社サイトから共同購入へ参加できるような仕組みを始めている。 14)価格交渉代行: これもリバースオークションの1つだ。誰もが本当はしたいのだが、抵抗がある行為の1つが、値切りだ。これを代行してくれる仕組み。Nextag.comが始めた。このサイトにアクセスし希望商品を選ぶと業者リストが価格とともに表示される。消費者側の希望価格を入力し、業者側のオファーを待つ仕組み。とにかくリバースオークションの仕掛けが今最も旬なようだ。 いわゆるオンラインバーターである。個人的にはこれが気に入っている。オークションは時間はかかるし、結局落札者は1人だ。その他大勢は失望感を味わうだけ。ゲームならおもしろいが、商品調達の手段として考えると不公平感がつきまとう。 これもあまりに有名なBuy.comのモデルだ。インターネットはこの種の非常識がまかりとおる世界なのだ。仕入れ値そのまま、あるいはそれ以下で売ってしまう変な小売業の登場である。自ずと収益は広告でまかなうつもりのモデルだ。書籍、CD、パソコンといった既に超有名店のひしめくジャンルを扱う。各カテゴリーで3社のライバルを選び、それより最低価格を保証する。当然目下のところ赤字の垂れ流しだが、インターネットの打ち出の小づちソフトバンクが70億円も投資している。インターネット広しといえども、ここまで徹底的にディスカウントで勝負する企業は珍しい。 グローサリーはこれも21世紀の有望ジャンルとされる。自前の商品は物流を持たなかった初期のオンラインスーパーに替わり、最近のモデルは商品も物流も自前で行う。価格もリアルスーパに比べ安い位だ。将来的には全世帯の5%はオンラインスーパーを利用する調査結果も出始め、No1オンラインスーパーを目指した競争が激化している。品揃えも豊富、価格も安い、品質も結構よい、おまけにデリバリーも便利となると、リアルスーパーのアイデンティティとは何かが問われ始めた。結局のところリアルコマースとは、劇場型コマース、エンターテイテメントコマースになるしかないのか、という感じだ。既にリアルスーパーには店員さんの半分はコックさん、といった店が登場している。ネット小売業の登場はリアルコマースの質的変革を促しているのだ。 日本のコンビニEC計画は、妙なマルチメディア端末が主役だ。あるいは決済拠点、受け渡し拠点としての利用が中心だ。どちらかといえば、高密度な拠点数をインフラトとしての来店促進型コンセプトが目立つ。だが本来コンビニとは文字通り便利さを訴求するものだ。来店させておいて何が便利か、という疑問が残る。 文字通りe-mail でショッピングを可能にする仕組みだ。これも去年の夏頃登場した。これまたリバースオークションの一形態である。展開企業の有名どころはRespond.com。専門サイトから希望商品を選び、入力フォームに希望価格等を入力すると、業者へ伝達される。これに対するオファーが業者から届く。購買意思が確認されるまでは、匿名性が保たれる。 どうもことネットユーザーに関しては、ネット傾斜は止まらざる勢いに見える。リアルコマース側の歯止め対策も重要だとは思うが、ネット業態間の壮絶な戦争がどうなるか、興味津々である。日本ではせいぜいスーパーストアが登場し始めた程度。買う側にとってはまだまだ選択肢は少ない。ただいずれ訪れる業態間競争に備え、差別化のシナリオ位は準備しておくべきだとは思う。 |
|
|
|