連載:ECのマーケティング

●広がるインターネット通販――第1回
現状

日本農業新聞:97.11(A2-01)


 インターネットショッピングが急速に台頭してきた。日本では既に店舗数は4千店を越えており(図)、不振の続く実際の店舗小売業に比べ、その伸びは驚異的である。この連載では、7回にわたりインターネット通販の動向と成功のポイントについて取り上げていく。
インターネットには様々なサービスがあるが、ショッピングの主役となる場はワールドワイドウェブ(WWW)と呼ばれるサービスである。日本ではいわゆるホームページと呼びならわされている。このホームページを利用すると、文章以外に音声、写真、動画といったいわばマルチメディア的な情報が盛り込める。オンラインショッピングではパソコン通信サービスが先輩格であったが、それが文章主体であったのに比べると、表現力に優れており、一躍オンラインショッピングの主役に躍り出た。



●市場規模

 もっとも市場規模はまだ小さい。郵政省の調べでは1996年のインターネットビジネスの市場規模は280億円程度で、実際にはこれより少ないとする説も多い。同時点の通販市場の規模が2兆2千億円であるから、そのシェアはごく微々たるものでしかない。
一方インターネットユーザー数の方は現時点で600万人とも700万人とも言われる。このユーザーの中でショッピングを経験した人の割合は3割程度で、まだ未経験者の方が多い(日経マルチメディア調べ)。ホームページの利用法は情報収集、エンターテイメントと様々であり、ショッピングは必ずしもその主役ではないのだ。
またインターネットユーザーの内女性比率はどのような調査結果をみても10数%という程度である。日本の通販市場の85%は女性が顧客であることから、インターネットのターゲット構成はまだ特異である。
この点が既に1800万世帯、4400万人(内女性比率42%)がユーザーと言われるアメリカとの違いでもある。


●メリットとデメリット

現状ではまだまだ小さい市場だが、そこには従来のチャネルにはない魅力がある。例えば次のような点である。

・フリーかつオープン(誰でも参入でき、誰にでも開放されている)
・相対的に低コストで参入が可能
・中小企業や個人も大企業に伍して台頭に勝負できる
・時空間の壁を消失させる
 要するにインターネットとは誰にでも平等にチャンスを与える場である。金はないが知恵とセンスのある人にとってはそれこそ100年に1度のビジネスチャンスでもある。
 もっともデメリットもある。実際の買い物に比べ、関連購買が行いにくいことから、客単価が上がらない。またパソコンを前提とする限り、机に向かって勉強するような拘束性がつきまとい、ショッピングの楽しさが訴求しにくい。たくさん店は出来たが、売れる店の形が限定され始めている。こうしたデメリットをどう克服し、この新しいビジネスチャンスを活かすのか、インターネット通販特有のノウハウとマーケティングをマスターすることが重要になってきた。


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