サイバービジネス関連寄稿

―中小企業のホームページ活用―
通販で1億の壁を突破する


近代中小企業:99.4(B1−20)


■中小企業がインターネットビジネスに乗り出す時、通販は最も取り組みやすいジャンルである。現在日本ではインターネットショップは1万数千店ほどあるが、そのほとんどは中小企業や個人である。



 おもしろいことに、日本でのインターネット通販のリーダーは、大企業ではない。元気なのは2つのグループで、1つは中堅企業グループ。これはパソコンや書籍といった「売れ筋」商品を扱う企業である。年商は既にトップクラスで数十億円の規模に達している。
 もう1つのグループが中小企業である。彼らは「中小電子商店」と呼ばれ、実店舗をたたんでインターネット専業になった人たちも出始めた。
 いわゆる典型的な大企業にはなかなか成功例は存在しない。例えば初期投資2億円をかけて参入した某大企業のモールは月商が2百万円しかあがらず、先般縮小を表明した。一方初期投資数十万円程度でスタートし、今や月商数百万円(トップグループで6〜7百万円といったところだ)を達成している中小電子商店は沢山ある。どうもこの差は、熱意、センス、フットワーク、必要なハンコの数・・といった違いによるものらしい。インターネットはまさに中小企業こそが活躍できるフィールドなのだ。

年商1億円の壁をどう打ち破るか
 元気で生き生きとしている中小電子商店が多いが、彼らにも悩みがある。年商1億の壁が突破できないことである。当初は手探りの「通販ごっこ」でスタートしても、いざ規模が大きくなっトくると、月商数百万円の段階で必ず壁が訪れる。何故なら本格的に通販で規模の拡大を目指すには、それなりのシステムの整備が必要になってくるからだ。顧客や商品のデータべースの整備が必要になるし、決済方法も消費者の選択に応じ多様化させることが必要だ。今の日本ではこの1億円の壁が大きく立ちはだかっている。

 この1億の壁をあっさり突破したインターネットショップがある。これは釣りを対象とした「スーパー・フィッシング・ワールド」という店である。
 ここは釣具店を含む3社共同で作っているショップである。釣具を中心に2万点以上の商品を色々な角度から検索することが可能で、釣りファンにとっては本当に楽しい店だ。
 通常中小電子商店の品揃えは専門品で数十〜数百アイテムといったレベルが多いので、ここは既に本格ショップといってよい。とにかく大企業顔負けの必見のショップである。1度丁寧にその店づくりの内容を研究してみることをお勧めする。日本では格段にレベルの高いショップだ。
 ここの店作りの特徴をまとめてみよう。

1)充実した情報提供
 まずはありとあらゆる釣り情報の入手が可能だ。どこそこの湖で釣れるブラックバスの紹介から、国内外の釣りスポットの紹介、トーナメントの実施日程、釣りの極意・・・。とにかく釣りファンならここのホームページにアクセスすれば、釣り情報は全て間に合う感じである。主要な釣り雑誌の記事の検索も可能だ。

2)コミュニティ機能
 コミュニティ機能とは、仲間との語らいの場といった意味である。アメリカでも優れたインターネットショップはこの機能が充実している。釣りファンなら誰でも自分の釣果やノウハウを自慢したいものだ。またアマチュアにとっては先輩からそのノウハウを伝授してもらいたい、といったニーズが必ず存在する。この「語らい」の機能が実に充実している。こうした「語らい」の機能を重視した店作りの形を「コミュニティ型ショップ」と呼ぶことがある。このタイプの店の好例がgarden.comである(ここは個人的にはインターネットで一番良い店だと思う)

3)親切な商品提示
この店では様々な角度から釣り用品を検索し購入することが可能だ。そのプロセスも無駄がないし、画像もスピーディに現われ、いらいらすることもない。大企業ショップでは商品をマルチメディア的(動画を用いる等)に提示し、それで満足しているところが多いが、ここでは丁寧に情報を提示している。逆説的だが、インターネットではマルチメディア的な画像を付けるより、文字情報をきちんと提示した方がモノは売れるのである。この本質をきちんとわきまえている。

4)在庫と表示の連動
2万点もアイテムがあれば、在庫管理が大変だが、ここは在庫の有無を画面で表示するシステムを採用している。インターネット通販が紙のカタログに優れている点といえば、まさにこの点である。いざ注文してありませんと言われるよりはるかに親切だ。これは本格的にはシステム開発が必要だが、アイテム数が少なければ中小電子商店でもすぐ応用できるノウハウだ。

 インターネット通販の秘訣は、初めてショップに来た人をどう内部へ導入するか、1度購入してくれた客をいかにリピーターにするか、である。この点は実店舗の商売と全く同じである。ただ手法的にはインターネットならではのノウハウがある。トップ頁(店の表紙の頁)で絶えずフレッシュな情報を告知し、プロモーションの案内をするといった工夫や、1度購入してくれた顧客には、また戻って来たくなるような「刺激」(情報、セール案内,電子DM ・・)を与えるといったことである。

 こうしたインターネットショップの工夫を学ぶには最適のショップだろう。日本のショップの中では格段にレベルが高い。これを大企業でなく中小企業の連合体が行っているという点が愉快である。


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