サイバービジネス関連寄稿

―中小企業のホームページ活用―
顧客の声を徹底活用する播州ハムのノウハウとは


近代中小企業:99.5(B1−124)


■インターネットの最大の利点の1つが、顧客情報を様々な形で入手できることだ。お客様の声はもとより、苦情、提案など生の声を素早く知ることができる。
 大企業のホームページは最近では単なる情報発信から、顧客情報の収集と活用に焦点が移り始めている。商品開発に役立てたり、見込み客情報として活用するなど、様々な展開が始まっている。
 中小企業でもこれは十分に可能だ。今回はインターネットで収集した顧客情報を経営に役立てている事例を紹介しよう。



播州ハムほりほり支店

 姫路にある播州ハムは、食肉販売の他、ハムソーセージの業務用卸売りや委託生産を行っているメーカーだ。ハムーセージは伝統のドイツ製法を守り、味や品質には絶対的な自信を持っている。
 だが、ここのところの業界環境は厳しく、どうしても価格競争に陥らざるを得ない。技術には自信があっても、良い製品を製造販売しようと思うと、「1度に大量生産出来ない」「製造に時間がかかる」「コストが高くつくため、問屋を通すと採算が合わない」「賞味期間が短い」等様々な制約がつきまとう。

 これを打ち破る仕掛けとしてインターネットに着目したのが、同社専務の堀田周郎氏だ。インターネットショップは「播州ハムのオンラインショールームほりほり支店」として平成9年7月に開店した。ハムソーセージの通販ももちろん可能だが、その他に商品カタログとして、顧客情報の収集窓口として、広告宣伝のツールとしてなど、同社のホームページは様々な役割を担っている。
 堀田氏自身のパソコン歴はそう長いものではない。関西大震災のボランティアで始めたパソコン通信がきっかけだ。インターネットを本格的に始めたのは平成9年1月で、当時はいくつかの店を見ても「まだ商売にならない」と判断したという。ところが5ヶ月後に再アクセスしてみると、「これは商売になっている!」と思わせる店が何店か出現しており「今ならまだ間に合う」ということで2週間で店を立ちあげたとのことだ。

顧客の声を集める様々な仕掛けが満載

 「播州ハムほりほり支店」のホームページの作り方はある意味で中小企業のお手本のような事例である。

 中小メーカーは自社の製品に誇りやこだわりを持っているものだ。これをどのように消費者に伝えるか、既存の流通チャネルを介する限り、この思いはなかなか伝わらない。
ホームページではこの思いがダイレクトに伝達可能だ。この情報が実に豊富で、「骨付きハムの作り方」「うんちく話」「おいしい食べ方」などの情報が山のように掲載されている。結果的に単なる商品販売サイトではなく、グルメ情報サイトとして認識され始めており、様々なメディアに取り上げられている。今年だけでも既に10数件の掲載があり、大企業顔負けのパブリシティが展開されている。

 顧客の声を集める仕掛けも大きな特徴の1つ。トップページにはもちろんそのまま意見を書き込める欄が設けてある。この意見欄は様々なページに設定してあり、出来るだけ多くの意見を集めたいという意欲が見受けられる。

 プレゼントコーナーも同社ホームページの人気メニューの1つだが、ここも顧客からの声を集める工夫が満載だ。同社のホームページに対する評価、工夫すべきこと、参考にすべき通販ホームページについて、ハムソーセージに対する好み、等様々な視点から意見を求める構成になっている。
 概してこうした意見を収集する場合、大企業のホームページでは、単なる一方的なアンケートコーナーになりがちだが、同社の場合は、情報の十分な提供をまず行い、それに対してユーザーも自分の意見を述べるという形だ。こうして初めて「インターラクティブ」〔双方向)の情報のやりとりが可能なのだ。

 こうして集まる情報はホームページの改良はもとより製品開発に活用されている。堀田氏の言葉では「インターネットのお客様から本当にびっくるするくらい商品に対する感想を頂くことが出来ました。これをもとに配送方法の改良や製品改良、新製品開発にどれだけ役立ったかわかりません。感謝、感謝の毎日です」とのことである。
 同社では希望者には「ほりほり美味通信」というメールマガジンを送っている。販促の意味もあるが、ハムソーセージのおいしい食べ方、食中毒への注意など、これまた情報が豊富で、このメールマガジンの購読者には会員として特別販売も行っている。
結局ホームページの効果を総括すると

実店舗では難しいこだわり生産販売が可能
・お客様の声を基盤として、作り手として本当に自分の作りたいものを作れる喜びが生まれた
・予約販売、オーダーメード、頒布会といった方法の採用が可能となり、良い商品を新鮮な状態でお客様にお届けすることが可能となった
・ただ立ち寄って頂いた方にも満足して頂ける情報を発信することにより「良い口コミ」の発生を期待することができる

ということになるという(堀田氏)。
 今後参入する中小企業へのアドバイスとして同氏は「基本コンセプトをきっちり煮詰めること」「お客様にとって信頼度と満足度の高いページづくり」「初期段階からしっかりした広報計画を作ること」の3点をあげてくれた。
 インターネットの双方向性を活用すれば、中小企業でも顧客との関係づくりや情報活用は自在に可能となる。そんなノウハウが参考になる事例でもある。



to section index  to previous  to top  to next