サイバービジネス関連寄稿

―中小企業のホームページ活用―

「素直な」発想がポイントーバーチャル展示会を展開するインフォマートー
近代中小企業:99.9(B1−128)



インターネットで最も有望なビジネスモデルの1つが「お見合い」だ。正確には「電子仲介業」「電子仲買人」と言われる。売り手と買い手をつなぐ仲人の役割だ。これを手がけて注目されている中小企業の例を紹介しよう。



インターネット見本市の展開

 フーズインフォマートは、食品・食材の業者専用の会員制ホームページだ。ここに登録することで、売り手、買い手双方の登録企業同士の商談や取引きが可能となる。いわば24時間365日ネット上に「市場展示会」が開催されているわけだ。
 これを始めたのは、村上勝照氏で、平成10年6月にホームページを立ち上げ、現在は売り手215社(商品点数2000品目)、買い手300社が登録中だ。「お見合い」の成果も順調に拡大しており、定期的・積極的に売り込みを行っている企業の70%は何らかの商談や新規取引きを開始しているという。
 村上氏自身は食品関係やコンピュータ関係の専門家ではない。このビジネスを始めたきっかけは、郷里の先輩に百貨店等で催事を手がけている人がいて、それがきっかけとなり、催事について調べ始めたことだ。
 百貨店のバイヤーに聞いてみると、「地方のおもしろい食品であれば検討したい」との強いニーズがある一方、「自分たちで商品を探しに行っている時間が取れない」「売り込みは沢山くるがなかなか良いものと出会わない」との悩みを抱えている。
 一方地方の食品関係の業者に話を聞くと「販路を拡大したいがルートがない」「都市圏や大手流通に販売したいが、ルートがない」「地方であることの距離的なハンディが営業面で大きい」等の悩みを抱えている。同様の悩みは外食や通信販売等の市場でも全く共通であったという。
 互いに悩みを抱える「売り手」と「買い手」がどこかで互いに情報を見ることができれば・・と考えたのがこのビジネスの発端だ。
その手段として村上氏はインターネットを選択した。理由は
・すぐに情報の書き換えができる
・スピーディな情報検索ができる
・双方向な情報手段として使える
・低コストで効率的

といった点で、ここでインターネットならではのお見合いビジネスが誕生した。

 実はこのお見合いビジネスは専門的には「マッチングビジネス」という。インターネットで最も有望なビジネスモデルとされているものの1つだ。米国では自動車、航空券販売等で既に大きなマーケットとなっており、自動車などは、従来の流通構造を変えたとまで言われている。村上氏が売り手と買い手の悩みから「素直に」発想したこの形態は、結果的には最も有望なビジネスモデルの1つなのだ。

フーズインフォマートの仕組み
 フーズインフォマートの仕組みは単純である。ここに登録した企業は売り手、買い手それぞれが、自分の情報を公開する。例えば売り手であれば商品の特徴、賞味期間、販売価格、受注可能数、納期・発送体制、納入実績、連絡方法、担当者といった情報を公開する。
 一方買い手は「物産展で取り扱い地域食品希望」といった内容で、希望商品の詳細とバイヤーのプロフィールを公開する。これを互いに見て、気に入った情報があれば商談が始まることになる。出店料は売り手の場合年間30万円(15品目まで)で、買い手側は月額5千円(300社までは初年度無料)とのことだ。
 仮に地方の食品メーカーが販路拡大を求めて通常のバーチャルモールに出店した場合には最低でも月5万円はかかる。また対象は一般消費者が多く、安定した取引きにはなかなか結びつきにくい。一方見本市等の場合はたった数日間の開催でも出展料で数十万、ガイドブック広告料も同程度必要だ。こうした点を考慮すれば、地方の売り手にとっては安価で全国規模の展示場に出展できる効果がある。距離や時間に関係なく、商談が出来ること、さらには考えもしなかった業種、地域への販売チャンスが広がるなど、メリットは大きい。

 このビジネスの秘訣について、村上氏は次のような考えを持っている。「いかに早く沢山の企業を集め、参加頂いた企業に使いこなして頂くかが勝負だと考えております。情報が増えれば増えるほど、自然にマッチングする情報が増えてきます。今後はいかに効率良くビジネスで活用できるかの方法を普及していくとともに、参加企業の仕事の悩み、問題解決のお手伝いをすることが勝負だと考えています」。
 このため、現状の課題はとにかく今年度中に売り手買い手双方合わせ2000社体制に持っていくこと。将来的にはオフラインでの実際の商談会の開催や、営業代行、システムサポートといったサポート体制の充実を視野に入れている。
 インターネットビジネスに参入を検討する中小企業に向けて、村上氏のアドバイスとは次のようなものだ。
「こんなのがあったらいいな、こんなのが便利だな、と意外と単純な発想をベースに、短期間に情報が集まる仕組みを作れば、ネット事業は企業の規模にかかわらず成功できるのでは」ということだ。
 確かにこれが大企業であれば、「始めにマッチングビジネスありき」でそこからビジネスの検討を始めることが多い。だが村上氏の発想は、売り手と買い手の悩みの解消という単純なところから始まっている。
 最近は米国でも様々な新しいインターネット上のビジネスモデルが出現している。そのいずれも実は「
素直に、ユーザーニーズ、ユーザーの不満に耳を傾け、そこから発想する」という形が多い。この発想を取り入れれば中小企業でも大企業に負けないビジネスの展開は可能なのだ。



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