サイバービジネス関連寄稿

介護用品の先端オンラインショップを展開するバンライー
近代中小企業:99.10(B1−132)


来年4月に迫った介護保険制度実施を前に、関連分野に参入する企業が相次いでいる。97年度の介護・福祉機器の市場規模は通産省の推計ではすでに1兆円規模を突破。21世紀に向けて最も成長性の期待される分野だ。一般消費者にとっても誰もが直面するテーマであるだけに関心は高い。だが実際に商品を入手するとなると、この分野の流通チャネルは必ずしも満足できるレベルではない。品揃えや情報面、あるいは何を参考に商品を選ぶのか、といったアドバイス面できちんと個人の消費者に焦点をあて展開している店がまだ少ないからだ。こうした中、インターネットならではの特徴を活かし、介護用品の優れた先駆的ショップを展開している中小企業の事例を紹介しよう。



介護用品ショップ「ホットブラッド」

 バンライ株式会社は1997年7月に創業したばかりの若い企業だ。創業の背景には「人を助けること、大きな意味での福祉が正常なビジネスにならないか」という問題意識があった(代表取締役中家淳子氏)。正常という意味は一般的な食品や日用品のようにオープンな場できちんと公開されたビジネスということである。インターネットこそこの展開に最適で、かつ比較的少ない初期投資で可能なことに着目し、98年3月よりインターネットでの介護用品販売のホームページ「ホットブラッド」を立ち上げた。
 バンライ自身は介護用品販売に特別のキャリアを持っていたわけではない。逆に「介護用品やサービスは一般の人が利用するものであり、これらの物やサービスが難解なものであってはならない」という理念が基本で、あくまで「
個人に味方する」ことをショップのポリシーとして掲げた。したがって自分たちにわからないこと、理解できないサービス、納得いかない価格はお客様にとってもマイナスであるという立場から、顧客と同じ目線を取ることを重視。これが同社のショップ運営の基本となっている。

 商品は介護用品を中心に1200点以上を販売。介護用品販売サイトとしては、最も品揃えが充実しているショップだ。ショップはインターネット限定で展開されており、この分野での新しい流通形態の確立や、流通コストの低減も狙っている。
 介護用品の売り方に何よりも必要なのは十分な情報提供だ。同社のショップでは「介護情報」「介護のやり方」「製品資料室」といった情報メニューが豊富に提供されている。介護に初めて携わる人でも、基本的な知識が得られるような工夫がされている。また介護に関する会議室も設けられており、情報の交換や共有が可能だ。

 こうした情報、コミュニティ機能を重視した店の作り方を「コミュニティ&コマース」あるいは「コミュニティショップ」と呼ぶことがある。ただ物を販売するだけでなく、インターネットならではの特性を活かしたショップづくりの1つの方法だ。結果的にこの方法が情報を探索しながら、商品を探すことの多い、介護用品に最も適していることになる。さらに購入顧客以外の訪問者の間で、良質の口コミの形成にもつながることにもなる。
 こうしたショップづくりにあたってはアメリカの先端事例を絶えず研究し、また自社のショップを客観的に評価するために、「アンケートプレゼント」という形でユーザーの意見や評価を収集し、その結果はページの改良に役立てている。
「商品レポート大募集」といったコーナーもあり、実際に利用した体験記を寄せることが可能。実際のユーザー意見を参考に商品を選ぶこともできる。
 ヘルプメニューやFAQ(良く尋ねられる質問とその回答コーナー)もきちんと充実しており、また商品分類の方法や商品説明もわかりやすい。介護用品という商品特性を活かしながら、かつ「売れるインターネットショップ」の定石をきちんと踏まえている点が中小企業には参考になるだろう。

 インターネットでのビジネス展開にあたってのポリシーは「独立性と情報の公開。プライバシーの保護」とのことだ。これが理念である「個人に味方する」姿勢の基盤となっている。また介護用品の販売という点からは「同社のサービスが他の企業、行政のすべてに優位に立つものではない」ことを絶えず意識しているという。したがって量販店との価格競争に巻き込まれるような事態はさけ、あくまで顧客に同社ショップの利用価値を判断して貰う立場を貫くという姿勢だ。

 今後は、介護用品の販売を核に、インターネットならではのトータルなサービス提供や情報共有も視野に入れているとのこと。インターネットの特性を活かせば、個人の生活者の様々なサポートシステムの構築が可能となるだけに、今後の展開が期待される。
 インターネットでは「早いもの勝ち理論」が指摘されることがある。早く参入し、ブランドを獲得した企業が
「勝ち組」となるという意味だ。これは決して大企業有利ということではない。むしろ「インターネット生まれ・インターネット育ちの企業である」「徹底的な消費者志向の視点を持つ」ことなどが、「勝ち組」の条件とされる。この点からみれば、今後この分野には大企業始め多くの参入が予想されるが、顧客の支持を早くかち得た企業が優位となることは間違いない。同社のショップが「勝ち組」の有力候補の1つになる可能性は高いと言えるだろう。

 「あくまで生活者の視点を基盤にすること」「売れるショップづくりの基本となるウェブデザインを採用すること」「双方向性、情報の十二分な提供等、インターネットの特徴を活用すること」「きちんとした企業理念をもつこと」「顧客の意見をもとに絶えずショップの改良を心がけること」等、同社のショップ運営ノウハウは、中小企業の参考になる要素が多い。



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