サイバービジネス関連寄稿

2000年EC市場予測

(B-138)商業界99.12



ECが本格化してきた。とはいえ、日米で比較すると、市場規模は消費者向けで30分の1、スピードで3年遅れというのが実感だ。



日本的ECが拡がる

 市場が爆発的に成長するには、インターネットをあたかも空気のように活用する「ウェブライフスタイル」という層が人口の2割を越す、という説が従来からあった。アメリカは98年にこの比率が2割を越した。日本は甘めに見て8%程度だ。2割になるには後3年ほどかかる計算である。日米の間には「ベースボール」と「野球」位の違いがあるのも事実だ。だが「野球」には野球の良さがある。

 日本型ECの第一の特徴は中小企業が元気なことだ。日本での消費者向けショップの数は99年10月時点で1万8千店程度。その内のほとんどは小規模店だ。この小規模店のトップ1割の人たちのレベルは本当にすごい。日本のECは彼らがリードしてきた、といっても言い過ぎではない。このトップクラスの先頭集団で年商1億円程度にまで育ってきている。実質的にはその実態はパパママストアで、この形でも頑張れば1億規模にまで育つ。これが日本的ECの大きな成果なのだ。
 トップクラスの店は、専門店型だ。絞り込んだ品そろえ、名物商品(強みとなる商品)で勝負している店が多い。インターネットビジネスの成功の鉄則は「インターネットの特質を生かす」ことだが、彼らはこの特質を「親切、丁寧、迅速、ハイタッチサービス」といった人間系のサービス展開で活用している。e-mailを駆使し、素早い対応を行う。何のことはない、インターネットの特質を活用し、限りなく対面販売に近い展開を行っているのが特徴なのだ。

 日本的ECの特徴は、ほかにもある。例えば携帯電話のようなモバイル、とコンビニエンスストアだ。モバイル技術は米国に比べはるかに進んでいるし、またコンビニの水準もおそらく世界1だろう。この2つが、日本的ECのインフラとなり始めた。消費者の中にはいまだネットでのカード決済を怖がる人もおり、これらの人の多くはコンビニ決済を好む。コンビニは決済拠点、物流拠点、情報拠点といった総合的な役割をはたし始めている。この2大特徴を生かした展開が今後も続くだろう。

 一方実店舗小売業の方はまだまだ疑心暗鬼である。アメリカでは既に、実店舗小売業対インターネット小売業の壮絶な戦いが始まっている。あのトイザラスはネットでは精彩がなく、e-toysというネット生まれのおもちゃ屋さんに食われ始めた。ウォルマートも、本気でネット販売に力を入れ始めたらすごい、と言われ続けたが、実際にはまだもたもたしている。だが今年あたり逆襲に転じるという専らの噂だ。
 日本では百貨店等の実店舗小売業、通販企業のネット販売はあまり見ごたえのあるものではない。まだ展開が中途半端であること、また日本の小規模店が試行錯誤の中で獲得してきた、インターネット販売特有のノウハウ(ページデザイン、トップページの作り方、ナビゲーションの方法、商品提示方法、顧客対応方法・・)のレベルがまだ低い。アメリカと異なり、「食わなければ食われる」といった状況にはないだけに、ネット展開も今1つ気合いが入っていない。

今後の動向
今年それではどうなるのか、いくつかのシナリオをあげてみよう。
1)
小規模店も踊り場に:順調に成長してきた小規模店だが、1億モデルを突破するには新たな仕組みが必要だ。データベース、物流、システム等の整備をどう行うか、今後の新たな展開が問われる段階に来ている。
2)
実店舗小売業も本格展開に:あまり精彩のなかった実店舗小売業も今年あたりから、本格的に乗り出しそうだ。逆にそれをしなければ、将来への道を拓きえない、位の覚悟が必要である
3)
女性ユーザーへの浸透進む:アメリカではすでに女性ユーザー比率が上回ったという調査結果もある。日本でも女性主導型への転換が加速するだろう。一方でウェブ上の企業家、ウェブプロデューサーにも女性が目立つ。彼女達の本格的な活躍が予想される。
4)
売れ筋の転換:ネットでの2大売れ筋商品は「パソコン関係」と「旅行」である。この傾向はまだまだ続きそうだ。だが新しいキーワードも出てきた。アメリカでは「ローカル」「グローサリー」「c to c」が今年の3大有望ジャンルだ。すでに自前の配送センターで商品調達を行い、消費者にデリバリーを行うネットスーパーも出現している。c to cとは例えばオークションのような仕組みだ。消費者が消費者と取引する仕組み。ネットではこんなことが可能となってしまう。既に単なるネット通販の域を脱していると考えた方がよい。



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