サイバービジネス関連寄稿

「商店街ホームページ」を成功に導くには

(B-139)近代中小企業00.01



個人商店がホームページを開設している例は沢山ある。だが商店街共同のホームページはまだ少ない。理由は明らかだ。まだまだ開設のメリットが見えにくいこと、さらにはどのような商店街事業でも共通だが、加盟店の足並みを揃えることに並大抵でない努力と熱意が必要だからだ。
今回は商店街ホームページの事例とそれを立ち上げた1人の女性プロデューサーを紹介しよう。



●商店街ホームページをどう立ち上げるか

 長坂由佳さん(36才)はもともとコンピュータ関係の仕事をしていたが、平成9年に独立。マンツーマンのパソコン教室を東京笹塚で開設した。彼女は地元笹塚十号通り商店街の青年会員になり、商店街活動に参画することになる。
 起業してからしばらくたち、自分が加盟している商店街のホームページを立ち上げたいと考え始める。これが「ささはたドッとこむ」が始まったそもそものきっかけだ。「ささはたドッとこむ」は渋谷区商店会連合会に所属する幡ヶ谷駅、笹塚駅周辺の10商店街、700店舗が参加する、日本でも有数の商店街ホームページである。

 いざ思い立ったはよいが、ここからが大変だ。10商店街700店を動かすには、揃ってゴーサインを出せる企画、予算、システムを考えねばならない。一口に商店街といっても規模も売り上げも様々な店が集まっている。通常の商店街活動さえ足並みが揃わないことが多いのに、まして何の役に立つかわからないホームページとなると、その説得は至難の技である。

 このあたりの成功要因を長坂氏自身は次のように総括してくれた。

1)入念な準備の上での企画提案
 商店街活動は実際にはボランティア活動である。人々を動かすには全ての事務作業を引き受け、後は行動あるのみ、というところまでお膳立てしなければ、難しい。長坂氏はホームページ効果、行政の支援を始めとする様々な資金調達方法等全てを調べ上げ、入念な企画を提案した。特に資金面では始めから個別に費用徴収したのでは、まず実現は難しい。結果的には総予算の3分の1を東京都、3分の1を渋谷区の助成金、残り3分の1は10商店街で案分する形となり、あくまで商店街予算の中から捻出することとした。
)強力な商店街リーダーの存在
 成功している商店街活動の背景には必ず、強力なリーダーが存在する。今回もまさにそのケースで、長坂氏の企画を強力にサポートするリーダーたちの存在が大きかったという。長坂氏が段取りを行い、行政側との折衝にはリーダーたちが動くという図式ができ上がった。
3)
日ごろからの商店街活動
 「ささはたドッとこむ」に参加している10の商店街は日ごろから顔を合わせる機会が多く、1つのプロジェクトを推進するための基盤がそもそもでき上がっていた。
つまり、1人のプロデユーサーの熱意と実務的な実行力が基盤となり、強力な商店街リーダーとめぐりあったところに、素晴らしいチームワークが生まれたということなのだろう。

「ささはたドッとこむ」とは
 こうして生まれた「ささはたドッとこむ」だが、その内容は実に充実している。今後各地の商店街がホームページをつくる時のお手本といってよいだろう。
 商店街ホームページの基本的なねらいは、商店街を紹介し、結果的に集客力のアップに結びつけることだろう。このため、「ささはたドッとこむ」では700店全ての取材と写真撮影を行い、紹介している。様々な検索も充実しており、ユニークな店を発見することがっ可能だ。毎月のイベントやプレゼント、店舗紹介といったテーマ性のある企画も盛り沢山で、
いつアクセスしても、商店街の最新情報を入手することができる。「ささはたガイド」のコーナーでは、地域に役立つ情報が「医療病院」「文化・スポーツ」「各種届出・手続き」といったテーマ別に紹介されている。地元住民の視点で編集されているのが実に使いやすい。掲示板コーナーも設置され、ホームページ利用者、商店主との交流の場となっている。

 「ささはたドッとこむ」はこの秋に誕生したばかりだが、早くもその効果が現れ始めている。全国の商店街からの問い合わせや取材も増え、目下注目の的だ。商店街内でもインターネットやホームページに関心を持つ商店主が増えてきたという。また今までの商店街活動では表に出てこなかった商店主たちが活躍を始めるなど、商店街活動自体にも影響を与えている。商店街には参加していない店がお客様から「何でホームページに載っていないの?」と言われ、加盟したいと言ってくるなどといった事例も現れた。

 実はアメリカではこれからのホームページ活用のキーワードの1つは「ローカル」だと言われている。一見ワールドワイドで距離の壁がないインターネットだが、それをローカルに活用することに注目が集まっているのだ。このローカル情報とデリバリーシステムを活用したインターネットビジネスが今後の有望ジャンルでもある。例えば地域のおいしいレストランを探し、そこから料理をデリバリーしてもらう、といった動きもすでにある。「ささはたドッとこむ」自体はオンラインショッピングは行っていないが、将来的にはモールの展開も想定されるシナリオだろう。

 地域とインターネット。この結びつきには様々な熱意や工夫が必要だ。これを実現した好例が「ささはたドッとこむ」で、その経緯を見れば、商店街活動の1つの成功要件も見えてくる。これから検討している地域、商店街の関係者にとっては参考になる事例と言えるだろう。



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