サイバービジネス関連寄稿

従来の常識を覆すネットビジネスのインパクト

B-157)〔ネットランナー00.07)



I東海道新幹線のグリーン車には、専用の雑誌が置いてある。結構ビジネスマン向けで、IT関連記事も目立つ。たまたまこの雑誌を見ていたら、巻頭言で某化粧品大企業の社長の「ネット販売に疑問」といった趣旨の記事が載っていた。これっておかしいゾ!



  うろ覚えだが次のような内容だったと思う。「人間系のインターフェースのないネット販売は確かに利便性もあるが、対面販売の良さに比べると落とし穴もある。対面販売を見直すべきだ」。

 化粧品会社は系列店への配慮もあり、ネット販売には消極的な姿勢を見せている。この巻頭言もそれを意識してのことだろう。化粧品メーカーは建て前として「対面販売によるコンサルティングセールスこそ化粧品のイノチ」といっているからだ。

 しかしである。化粧品のチャネルには様々な店がある。百貨店の化粧品コーナーではきれいなお姉さんがアドバイスしてくれるが、これをうっとうしいと思う消費者も確実に増加中だ。取り方によってはこれはプレッシャーセールスであるからだ。

 一方で街中の薬屋兼業のような化粧品店だが、ここの頑固そうなオヤジさんに化粧品のコンサルティングをしてもらおうなんて消費者は1人もいないはずだ。新ブランド名を言えば、自動的に商品は出てくる。これは一種のセルフ販売のようなもので、これが気に入って逆に街中の店で買う消費者も多い。化粧品メーカーの主張は実は矛盾だらけである。

 対面販売こそイノチのはずの化粧品だが、実はウェブでの販売はかなり高いレベルになってきている。アメリカの有名メーカーは既にウェブで直販を開始。これが対面販売以上に質が高い。まずは「お肌の診断」等のコンサルティングから開始。以降商品提案は全てこの診断結果に基づき、タイプ別に行われる。色の微妙な違いもウェブ上で明確に表現され、そのアドバイスも徹底している。結局よくよく眺めると「化粧品ってウェブに向くのネ」という感想である。日本でも通販化粧品会社のレベルの高いサイトが登場している。

 顧客接点の販売力が低下する中で、従来の対面販売にはどうしても「嘘っぽさ、押しつけがましさ、陳腐さ」がつきまとうようになった。これを今の消費者は敏感に感じ取っている。ウェブでの販売はこの矛盾を見事に解消する。これがECが「ストレスフリーコマース」と呼ばれる所以でもある。

 何だか、建て前のような「対面販売擁護論」を言われても全然説得力がない感じだ。
 仮にこの社長が本気でそう思っているのなら、この会社に未来はなさそうだ。

 ウェブ向きでないと思われていた商品販売が続々開始されている。代表例は「」である。誰もが「えー!、靴がネットで売れるの?」と思うだろう。だが世界最大の靴屋を標榜し展開しているのがあのノードストロームだ。ノードストロームといえば、靴売り場の美男子店員が有名だ。ネットでは美男子こそ表われないが、実に丁寧な店を展開しており、思わず感動してしまう。

 「靴が売れない」と思い込んでいた理由の1つは、サイズ合わせやフィッティングの問題からだ。誰もが「靴は実際に履いてみないと・・」と思っていた。だがネットでも売れる!!

 ノードストロームではフィッティングアドバイザーなるメニューがあり、インターラクティブな形式でまずはフィッティングをしてくれる。おまけにPDFのファイルで実際の「足型」がダウンロードできる。これに合わせてサイズを確定する仕掛け。プリンターから足型が印刷されてくるのを見ると、思わず笑ってしまう。アメリカ人の足って本当に大きいんだから!

 フィッティングの難しささえ解消すれば、靴はそもそも多品種少量であるからネット向きなのだ。大体ノードストロームはそもそも靴から始まった店だ。しかも売り場には美男子がうじゃうじゃいて、膝まづいてサービスしてくれる。これこそ対面販売の極地だ。このノードストロームがネットで靴屋を展開する。これこそネットが利便性だけの場ではない、ということの証明のようなものだ。

 ネットに向かないと思われていた商品が続々登場し始めている。高度なコンサルティングやアドバイスを対面で行っているはずの金融商品もその1つ。損害保険会社などは「安心と安全のコンサルティング」をうたい文句にしているが、代理店に高度なコンサルティングをしてもらった経験などほとんどの人はないはずだ。自動車を買うと自動車保険は自動的にセットされていたりして、選択肢もままならない。「保険会社を替えると、割引しませんよ」などと平気でプレシャーをかけてくる。こいうのを「プレッシャーセールス」というのだ。かくして自動車保険は一斉にウェブの販売が開始された。これも必然である。
 かくして従来の「
常識」は続々と崩れていくのだ。




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