だがこれが「勝利の方程式」なのだ。
日本では過去5年、ことBtoCに関しては中小企業が市場をリードしてきた。彼らのトップクラスはパパママストアの体制で年商数億円には達しようとしている。かたや名のある流通業のEコマースは月商数百万円程度で苦戦しているところが多い。実店舗では、売上げは店舗面積や商品数などの規模の差で規定されるが、ネットではそのリクツが通用しない。
さてリーダー格の中小電子商店にはそれなりの成功法則がある。
「専門商品に特化」「名物商品を作る」「安売りではなく納得価格で勝負」といったことがそのヒケツだ。こうしたことはネット上の中小専門店の運営ノウハウとして確立している。さらには彼らはネット上で協力しあい、一種の協同組合的な動きを模索してきた。共同して、カード会社と手数料交渉を行う、共同ブランドを作り集客を図るといったことである。
さて最大の成功要因は「顧客対応」である。ここでのヒケツの1つは「打てば響く」ということだ。顧客の問い合わせに対し、瞬時に反応する。メールへの回答への平均所有分数は1時間以内。遅くともその日の内に回答する。さらに「顧客との距離感のつかみ方」も重要だ。必要以上に踏み込めばいやがられるし、かといって放っておけば顧客は2度と戻ってこない。この微妙な「距離感のつかみ方」を重要なマーケティング課題としている店とそうでない店の格差が目立つ。この顧客対応が順調に奏功してくると、「客が店を盛り上げる」という現象が起こってくる。顧客がサポーターになり、デジタル口こみ等で店の宣伝マンの役割を担ってくる。
こうなってくると、しめたものだ。
最大かつ最重要な法則が「顔の見える店」である。中小企業の店は文字通り店主が写真で登場する。これは一種の安全保障マークの意味もある。店主が顔を見せる位なら、悪いことをしないだろう、と顧客に思わせるしかけの1つだ。だが「顔が見える」とは写真のことだけではない。こだわり、主張、方針が明確であるか、主義主張のある店か、ということなのだ。ここが明確であればあるほど、店のファンは増えていく。要するにネットビジネスの成功法則とは「何をするか」ではなく「誰が行うか」でもあるのだ。
大企業ではこの「顔」が見せにくい。おまけに、最近オープンした某社の展開は最悪だ。外にノウハウを求め過ぎだ。川下ビジネスに弱い企業が母体であるだけに、小売りノウハウがないことはわかるが、かといってコンサルティング会社にそれを求めるだけでは成功しない。ここは5社位にアドバイスを求め、社内は各社のコンサルティングレポートが山をなしている。だが各社の提案の良いところだけをつまみぐいしても、成功はおぼつかない。内部に「オヌシデキルナ!」という人の気配がしないのだ。
大企業の店で「人の顔」を見せるのは至難の業である。だが、結構大手のショップでも「担当が顔を見せる」「ウェブマスターの個性を前面に出す」といったことを行っている事例も出てきた。結果的に「個人」を前面に出すことで、フレンドリーなイメージや商品提案でのこだわりが示される結果となっている。
「人の気配」や「人の顔」。一見矛盾するようなことだが、ネットではこれが重要だ。リコメンデーションエンジン等の最先端の情報技術の導入も結構だが、まずは原点に戻って考えてみる必要がある。 |