サイバービジネス関連寄稿

コンバージョン率の向上を狙う:日経コンピュータ0201


ネットでは「コンバージョン率」がいつも問題になる。一定期間の来訪者に対する「アクション実施者」の比率のことだ。ネット広告の分野では資料請求等のアクションに結びついた人の割合をコンバージョン率ととらえるし、オークションサイトでも、何らかの売買に結びついた比率を同様にとらえる。ショッピングサイトでは来店者対比購入者比率をさしている。



 なぜこのようにコンバージョン率が注目されるのか、ネットではこれがビジネスの成否そのものにかかわるからだ。ショッピングサイトではコンバージョン率の平均は4%を切っている。超優良店でも1割を越すことは滅多にない。つまり100人来店しても購入者は10人以下の世界なのだ。そもそもこれを前提に考えなければならない。

 一頃女性サイトに代表される「コミュニティサイト」が続々誕生した。そのビジネスモデルは広告収入と並び、eコマース収入を狙うというもの。だがeコマース収入は伸び悩んでいるところがほとんどだ。これは先行したアメリカも韓国も共通の傾向だ。そもそもコミュニティサイトには「語り合い」にやってくる。モノを買いに来ているわけではない。当然コンバージョン率は1%にもとどかないだろう。コミュニティサイトの成功ケースでも会員数は数万程度。これにコンバージョン率を掛け合わせれば、いかに儲からないかは自明の理だ。

 そもそも物販のコンバージョン率は数%止まりであるとしよう。これを前提にした時の商売のシナリオは次の2つだ。「コンバージョン率の向上はさておき、まず来店者数(分母)を高め、結果的に購買者増を狙う」ことと「来店者増はさておき、購買者数の向上を心がける」こと。この他に「買わないで帰ってしまった非購買者の満足度を高める工夫をし、口コミ効果を狙う」というシナリオもある。

 第一のシナリオは、ここ2年ほどのアメリカのBtoCサイトの戦略だ。膨大な広告宣伝費を投入した。来店者は増加したが、当時の調査結果を見るとコンバージョン率は1.8%程度。金が続かなくなれば、広告中止、来店者減、売上げ減少、倒産というステップをたどる。このシナリオには限界があることが判明。オーソドックスにコンバージョン率をいかに高めるか、つまり第2のシナリオに注目が集まってきた。

 そこでなぜ物販サイトでコンバージョン率が高まらないかを検討してみよう。理由の第一は「狙い以外の顧客来店が目立つターゲット問題」である。中途半端な総合品揃えショップ(百貨店形式)で目立つ。何でもありそうだが、個々の客にとってみると何もない、という状況を招いている。また最近は金欠病であまり事例はないが、バナー等広告や懸賞、プレゼントに集客を頼る店も同様だ。

 第2の理由は「トップページデザイン問題」だ。にぎわいややる気が感じられないという第一印象の悪さ、情報デザイン(情報を関連するまとまりごとに配置する技術)のレベルが稚拙という理由が主なもの。中のページにもぐるための「手がかりの設計」が下手という理由もある。

 3番目に「購入に向けての販促・インセンティブ問題」もあげておこう。販促が下手で、衝動買いを誘うようなセール、販促の類いが充実していない。またリピーターに着実に購入し続けてもらうためのインセンティブ設計が下手というケースもある。最後は折角買う気になった人をわざわざ中止させるような「購買プロセス設計問題」だ。要するにレジ回りの設計が下手だということだ。下手な店では「折角カートに入れたのにレジを通過しない比率」は8割にも達している。
 コンバージョン率をいかに高めるか、原点に戻って考え直す必要がありそうだ。
 
 



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