| 再考ネットビジネス:日経MJ連載:2002年8月〜2003年3月 | |
| 1.つまらなくなったeコマース〜8年の蓄積、1度リセットを〜:2002.8
ネットビジネス、あるいはeコマースなどという言葉が注目され始めたのは1994年頃からである。以来8年が経過した。日本でも「成功例」「勝ち組」と言われる事例が出始めている。もっともその背後には壮絶な失敗例、死体の山も存在するが。 たった8年の歴史しかないのに、eコマースの世界では「もっともらしいノウハウ」が語られ始めている。だがそもそもネットビジネスの歴史は「非常識」「現状否定」の繰り返しであったのに、なぜか日本は「現状肯定的」だ。結果的に「似た店」「似たノウハウ」ばかりが目立ち始めた。日本のeコマースは一言でいえばつまらなくなってきている。 ネットが水と空気になり、利用者層も「普通の人」になっているのに、売る側の頭の中がそれに調整されていない。ここで視点を切り替える必要がありそうだ。 2. 容易に越えられぬ「1割の壁」〜「商品適性による差 目立つ」〜 eコマースには確かに「商品適性」というものがある。サイトも使いやすく、ネットで行うべきことを全て実施し、顧客対応も満点。しかし売上げは月商数百万円で頭打ちとなっている事例も多い。ここにきてこの「商品適性」の差が特に目立ち始めた。 現在のところ、最も適性がありかつ成果も順調なのは「航空券販売」だ。トップのANAで今年は年商1千億円を軽く突破しそうな勢いだ。 勝ち組となった理由その1は、「コンバージョン率」の水準が物販とは一桁違うことだ。コンバージョン率とは「来訪者対比購入者比率」とでも言い換えられる。この水準は物販ではせいぜい数%というところ。優良店でも8%程度に届けば御の字である。ところがチケット関係は始めから用のある人がサイトを訪れる。コンバージョン率の水準はそもそもケタ違いに高い。 もっともネット向き商品を扱っているのに成果の上がらない企業も多い。推察するに「波に乗り遅れた」気配が濃厚で、折角のチャンスを逃している。背景は「意思決定の遅さ」「顧客感度の悪さ」「トップの無理解」等とうところだろう。結局のところ、イソップ物語ではないが、「チャンスを活かすも殺すも器次第」とい カラー うことなのだ。 3. 実店舗との使い分け カギ〜家電量販は健闘、百貨店苦戦〜 ネットビジネスの勝者の代表が「本物のクリック&モルタル」の専門店だ。クリック&モルタルとは実店舗でもオンラインでも商売をするという意味だ。あえて「本物」と書いたのには、理由がある。「本物」とは「実店舗と同じ商品をネットならではの付加価値をつけて売っている」という店に限定される。これが「勝利の方程式」なのだ。代表例はパソコン販売のソフマップで、年商150億を突破しそうな勢いだ。通販企業も形態は「クリック&カタログ」だが、条件としては共通で、カタログと同等の商品展開を行っている。トップクラスの千趣会で年商100億の壁を突破しそうだ。 その昔、ネットでは「共食い理論」ということがしきりに囁かれた。つまりネットで同じような商売をすると、実店舗の商売が侵食される、という考え方だ。その後この「理論」は間違いであることが判明。ネットビジネスの勝者は、「マルチチャネル」を実施する、ということに落ち着きつつある。「マルチチャネル」とは、「実店舗もネットも場合によってはカタログも、沢山チャネルを用意しよう。結果的にこれが財布のヒモを最大限緩めることにつながり、また優良客ほど様々なチャネルを利用する」ということなのだ。事実ソフマップなどでは、優良客はネットの店も実店舗も利用する。通販企業の場合も、カタログは「客単価を高めるメディア」、ネットは「購買頻度(来店頻度)を高めるメディア」と位置づけ、上手に融合を図っている。 さて「本物」というからには「偽物」も当然存在する。上述のマルチチャネル戦略を事実上展開できない企業だ。例えば、家電量販店業界はネットで成功しているケースが多く、年商も数十億クラスが続出している。一方、ネットと実店舗の品揃えをはっきり分けているところでは、業界上位企業でも年商は10億程度だ。 百貨店業界も過去何年というもの、「百貨店のネットビジネスとは何か」の模索を続けている。だが答えはまだ出ていないようだ。ネットでの中元歳暮販売が好調だと伝えられるが、年商10億を突破しているところはまだないはずだ。成功指標が年商の1割であることを考えれば、およそ「商売になる」レベルには達していない。百貨店が単なる「貸し場業」から脱皮しない限り、マルチチャネル戦略は実施できない。苦難の道はまだまだ続きそうだ。 4. 大企業にノウハウ根付かず〜好奇心旺盛な中小に勝機〜 日本のネットビジネスは中小企業が事実上のリーダーだと言っても言い過ぎではない。ゼロからスタートした彼らが、年商10億を越えるのも時間の問題だろう。そのレベルは本当に高く、世界一だと評する人もいる。 なぜ中小企業が勝ち組になったのか、理由はいくつかある。まずは適性の問題だ。多くのショップは絞り込んだ専門店である。また名物商品を持っているところも多い。ネットでは総花的な「百貨店」の展開は本当に難しい。例外はそれこそ「無いものはない」楽天位で、中途半端な百貨店的品揃えは「一見何でもありそうだが、ワタシ向きのものはない」という不満を招いている。 さらに、中小企業が大企業に伍して戦えた理由は「店主の頭にオンライン経験が持続的に蓄積していった」ということなのだ。日本ではオンライン経験のある人材はほとんど流動していない。スカウトしてきて担当者に据えるということが難しい。大企業はここがネックになってしまう。担当者はくるくる変わり、企業内にノウハウが蓄積しない。一方コンサルティング会社に見直しを頼んだりしているが、これまた内容が理解できないほど難しかったりする。社内にレポートの山が積み上げてある事例をいくつも目撃した。 中小企業の名店と言われる店の店主たちはいずれも魅力的だ。共通の条件は「好奇心旺盛」ということ。ネットの商売は何か策を打つと、答えがすぐに出てくる。顧客は敏感に反応し、成果に現れる。これが面白いのだ。結果的にこれが好循環を生んでいる。 もう1つの共通条件は「模倣は創造の母」を実践していることだろう。とにかくアメリカ含め良い店の良いところはすぐ取り入れる。パクリは厳禁だが、ネットでは優れた店のノウハウが別の優れた店を作り出してきたのだ。 個人的には最も気に入っている店の1つは「播州ハム」。ここより売上げの多い中小企業は沢山あるが、この店は、買う人の「心理」「ネットのオキテ」を体得している。しかも「店主の知恵」がページのあちらこちらにちりばめられている。売れない大企業の人は爪の垢を煎じて飲む価値がありそうだ。 もっとも中小企業の名店と言われる人たちも、踊り場にさしかかっている。このまま順風満帆で続くというシナリオは描けそうもない。知恵と経験だけでは限界が来ているのだ。 5. みずほ銀行の誤算〜大企業ネット商店街の罠〜 みずほ銀行は、この程エムタウンのショッピング部門の閉鎖を発表した。死者に鞭打つようだが、これは「失敗の必然」である。日本の大企業がネットで陥る数々の「罠」に見事にはまったような事例だ。 まずは商店街、小売業としてのレベルが低すぎた。検索は使いにくいし、商品の魅力をネット上で訴求する工夫もない。ネットならではの付加価値があるわけでもない。一方消費者の方は、ネット上の数々の「名店」での経験を積んでいる。この売り手と買い手のレベル差が第一の敗因だろう。某テレビ局の人気番組に、飲食店建て直しの実録物がある。プロは一目で人気のない理由を見抜く。消費者は単純にまずいから寄りつかない。当事者だけが売れない理由がわからない、という構図だ。事実としては共通だろう。 第2には、「ビジネスモデル」が陳腐であった。オリジナルな決済方法を具備して、テナントを集めるモール、という形は、既に実用化に耐えないという結論が出ている。97〜98年頃に実施された旧通産省主催の実証実験はほとんどがこのモデルであった。だがそのほとんどは「絶滅」した。人は決済方法に魅力を感じて店を選ぶわけではない。店や商品が魅力がなければ、ネットであろうと、実店舗であろうと、消費者は見向きもしない。 理由の3番目。これは日本の大企業の陥る罠である。「ジェネラルの罠」とでも言えるだろう。ネットではジェネラル(総合)のシナリオは本当に難しい。百貨店形式で成功した事例は実に少ないのだ。唯一の例外は楽天で、ここは「何でもありそうで、本当に何でもある」業態になっている。テナント数が1万近くなるということは、途方もない価値を生みだす。 一方中途半端な「総合」は「何でもありそうで何もない」印象をまず与えてしまう。これは今の日本の百貨店、総合スーパーの弱点でもあるが、ネットではこの弱みがさらに増幅されてしまう。 6. 楽天1人勝ちの秘密〜勝因は「スピード」「自己増殖」〜:2002.9 勝ち組の代表例はやはり楽天市場だ。そもそもモール部門は「1強他弱」状態。2番手のヤフーショッピングの健闘が伝えられるが、テナント数は一桁違う。3番手以下のモールに関しては、出処進退を問われるといった状況だろう。 もっとも楽天もテナント数が千店未満の頃は、本当につまらなかった。「弱者連合」のようで、店や商品に魅力がない。事情が一変し始めたのは、それこそ2千店を越え始めたころからだ。ネットの勝利の方程式の1つは「およそ実店舗では考えられない、途方もない数の品揃え」を提案することだ。これが「ないものはない」という新たな価値を生みだしていく。他のモールが冴えないのは、規模が中途半端でこの価値を提案できないことに集約される。システム整備やマーケティングの動きも結構早い。チェックアウトプロセスの使いやすさは群を抜いているし、メルマガ配信システムの整備、店舗評価システムの導入も早かった。まずは勝因は、ネットスピードへの対応といったところだろう。 勝ち組企業に共通する要因がもう1つある。ヘンな表現だが「自己増殖作用」ということだ。特に日本では顕著で、一度あるサイトの評判が出始めると、自己増殖作用が起る。勝手にテナント数、会員数等が増えていく。「強者になびく」といってしまえばそれまでだが、これが起きると、みるみる内に他社との差がついてしまう。オークションサイト、旅行予約サイト等もこの傾向を示している。結果的にこれが「1人勝ち」を生んでいる。 もっとも課題は多い。最近急増中のいわゆる50代以上の「ITオバサン」たちは、楽天スタイルが大嫌い。検索が面倒。商品探しが大変、メルマガなんてうっとうしいという具合。導入中のブロードバンド対応ショッピングの出来栄えもイマイチだ。テナントに楽天外へのリンクを禁じ、楽天内で商売の完結を強制するのも、ネットのオープンな精神とは相いれないようにも思える。ただ客観的に評価すれば、中小企業のレベルの底上げに貢献したという役割は大きい。 7. 「センス」こそ大切〜なければ「愚直な顧客志向」で〜 eコマースの成功要因の1つは「センスと起業家精神」である。筆者としては心からこれを信じているが、口に出すとかなりいやがられる。「センスとは何かを明確にしろ」と詰め寄られるのだ。特に技術系のネット関連企業からは嫌われる。人工知能だの、データマイニングだの難しいことが好きだ。だが高度な技術を詰め込んでも売れない店は売れない。日本のeコマースはこの「技術とセンスのバランス」が実に悪い。 そこでセンスとは何かを解剖してみよう。まずは「知恵」ということ。これは商売のセンスとも言い換えられる。結果的に「やる気のある店だな」という印象を消費者に与えている。ネットではこの第一印象が何よりも大事なのだ。センスのもう1つの要素は「顧客感度」だろう。顧客の視点でモノが考えられる、顧客の反応に敏感といったことだ。「何だ、当たり前じゃないか」と言うなかれ。売れないサイトは大概この感度が悪い。 売り手自身が「目利きである」ということも重要だ。売り手のこだわりが明確で、それを売りたい理由が買い手に伝わる。これまた小売業の基本のようなことだ。だがなぜかeコマースと銘打つと、この基本がどこかにかき消えてしまう。 センスには「楽しむ」という要素もある。売り手自身が商売を楽しんでしまう。もっともこれは企業風土という制約も無視できない。担当者に決定権がなければ、楽しいことも楽しめない。事実、家に帰ると素晴らしい趣味のサイトを作っている人が、会社では恐ろしく詰まらないeコマースサイトの担当者であったりする。 それではセンスがない人、企業はどうすればいいの、ということになる。この解決策は「愚直な顧客志向」を展開することだ。好例はオフィス用品宅配のアスクルだ。既にネット売上げ分は250億を越え、物販サイトとしてはダントツだ。この業界も「1強他弱」の様相を呈している。別にアスクルがセンスがないと言っているわけではない。「顧客感度」の良い企業だから、水準以上ではある。ただ他社と比べ、「顧客の声に忠実」といった印象を、事実上の「発注者」である企業のOL層に与えている。この種のカタログを隅から隅まで眺めている彼女達はカタログ編集、品揃えに顧客の声が忠実に反映されているかどうかを、すぐ見抜いてしまう。サイト自体は決して使いやすいとは言えないが、勝因は「顧客志向の姿勢に関する他社との印象の差」だろう。 8. 「ビジネスモデル」に酔う〜「悩み解消」こそ成功の原点〜 eコマースでは「ビジネスモデル」という言葉が幅を利かせる。これがくせ者だ。失敗例の多くは「始めにビジネスモデルありき」の呪縛にとらわれている。 例をあげてみよう。eマーケットプレース(eMM)というモデルがある。売り手と買い手をつなぐ第3者の中間市場のような役割だ。バーチャルな空間でこそ。商社などは色めき立ち、eマーケットプレースの導入に一斉に踏み切った。平成14年3月に公表された電子商取引推進協議会の「eマーケットプレース委員会報告書」によると、その数は1999年には4件であったものが2000年には96件と急増。ところが2001年になると40に減少している。要するに急速に盛り上がったが、一方で急速にしぼんでしまったということだ。 推測するに敗因は「始めにeマーケットプレースありき」だったことだろう。大体こんな具合だ。「アメリカでeMMが流行っているらしいぞ」「これは実に我が社向きだぞ」「遅れないうちに早く始めよう」という経緯である。ことに熱心であった商社に関しては、BtoCの普通の商売は少々手に余る、ならばeMMなら実に商社向きだ、ということで参入したようだ。別に基礎ニーズ、戦略が明確なわけでもなく、ただビジネスモデルに繊維だ、鉄鋼だ、と商材を当てはめたにすぎない。 一方対照的な事例がある。食品分野のeMMの先駆けとなったのが、インフォマートだ。既に売り手、買い手合わせ5千社の登録企業を持つ。おかしなことに、ここの社長は、創業当時eMMという言葉を知らなかったという。「地方には優れた食材 を持っているが販路に悩む業者が多い。一方都会の企業はいつも商材を探しているが忙しくてなかなか見つけにくい。ここをつなげば人助けになる」位の発想であった。ここにたまたまネットが結びついたというわけだ。ビジネスモデルのビの字も登場してこない。「始めにネットありき」でもない。まず「eMMありき」の商社に代表される人たち。一方で実に単純な「お悩み解消」からスタートしている人たち。こんな対照的な事例がネットにはあふれている。 そもそもeコマースの原点は「実店舗や実営業でのお悩み解消」であった。まず自動車販売がネットで始まったのも、「早くサインを!」一辺倒のそれまでの営業スタイルに消費者がうんざりしていたからだ。この原点を見失うと痛い目に合うということである。 9. 商売の基本はネット書店〜業態や常識崩して快走〜:2002.10 ネットの商売は「書店に始まり書店に終わる」といっても良い位だ。そのノウハウはあらゆるeコマースに通じるところがある。一見売り方が確立されたように見えるが、なお進化し続けているところがおもしろい。アメリカのAmazonやPowellsといったウエブ書店は、日本でいえば、普通の書店、新古本を扱うブックオフのような書店、希少本を扱う古書店を足しあわせた様な業態に変化している。例えばある本で「新刊」を買いたい人は20ドル、多少汚れているが古本で良い人は10ドル、著者サイン入りの初版を買いたい人は100ドルといった具合だ。消費者への豊富な選択肢の提供ということをまず考えれば、「業態の垣根」は自ずと消滅せざるをえない。 一方日本のウェブ書店はあまりおもしろくない。業態間の垣根は厳然として存在する。書店業界、新古本業界、古書業界は互いに排他的であったりする。消費者利便より「業界の常識や制度」がまだ幅を利かせている。 日本では後発のアマゾンの優勢が伝えられる。これに対してビジネスモデルとしては有利なはずのクリック&モルタルの「老舗書店」のオンラインショップはいまいち楽しくない。実店舗での本の売り方に固執するあまり、ネットならではの価値が訴求できていないようだ。紀伊国屋のBookWebは不思議な店である。日本で最も早く開業したオンラインショップの1つだが、頑固なまでに「オンライン書店らしさ」を拒否する。検索システムは立派だが、「用事を済ませたらとっとと帰って下さい」と言われているような気がする。ただし、他店にない本もここでは見つかるし、書名のわかっている本を買うには特に不便はない。 かたやアマゾンに代表されるネット生まれのオンライン書店は実店舗並の「滞留時間の向上」「関連購買による客単価アップ」「著者、出版社、読者、書店との双方向な情報交流」「実店舗に比べての圧倒的な情報提供」を重視する。自ずと店の作り方は全く異なる。もっともどちらが勝者になるかはまだ見えてこない。ネットでは消費者はますます「性急」になりつつある。「用事を済ませたらとっとと帰る」店へのニーズは高まりつつあるからだ。 10. エブンドリームの誤算〜利便性欠き、独自色も薄く〜 2000年当時しきりに「日本的eコマース」という言葉が使われた。コンビニのような高密度な店舗拠点をeコマースのインフラとして使うという話である。鳴り物入りで登場したのがセブンイレブンのeコマースサイト、セブンドリームドットコムだ。発表時の事業計画は初年度70億、2002年度1800億円といったすごい数字だったような記憶がある。残念ながら日本のBtoCのeコマースで年商1千億を越した事例は航空券以外には存在しない。だが当時は誰もが「セブンイレブン」という企業ブランドの力、拠点数、システム力に幻惑され、この壮大な計画の現実性を疑わなかった。 開業当初は品揃えの混乱が目立った。なぜか20万円もするような「コンビニらしくない」高いアクセサリーを売っている。しかも1万円の商品と同じページで販売する。コンビニの客層とは思えない「大人の男」をターゲットにした商品もあった。確かに実店舗には来ないターゲットをウェブで吸引するというシナリオもあるにはある。だが過去のeコマースの歴史で、これで成功した事例は少ない。アプローチされた「大人の男」の方がとまどってしまうからだ。現在は商品ジャンルを絞り込んでいるが、それでもかなり違和感が残る。「CD」「ファッション」「トイ・ホビー」と売り場が並ぶが、買い回りを行う必然性に欠ける。ネットにはそれぞれのジャンルでの立派な専門店が山ほどある。3秒もあればそこに赴くことが可能だ。同一サイト内で買い回りを増やすには、それぞれのジャンルの品揃えが、専門店に負けぬほどの深さと幅がなければ太刀打ちできない。 全国のセブンイレブンでの受取りや支払い可能というメリットもある。だが書籍などは一定額以上は送料無料が常識化している。宅配便の夜間配送も当たり前となれば、コンビニをeコマースの拠点とするメリットは自ずと減少する。 残るシナリオはこのサイトのファン層を固定化することだが、総合的な品揃えのサイトとしてみれば、楽天にはかなわず、「楽しさ・おもしろさ・発見」を訴求し衝動買いを促すサイトとしてみると、「発見」までのステップが冗長だ。残るはコンビニの原点「利便性の強調」だが、目下のところは店内受取・支払い以外に特徴がない。要するになぜ「セブンドリームか」という魅力があまり見えてこない。「年商数千億」に成長するための必然性にまだ欠けているのだ。 11. 「作って満足」サイトは損〜製造業でも「商売」の発想を〜 中小企業のネット活用というとどうしてもBtoCの事例がもてはやされる。だがBtoBも負けてはいない。最近は中小製造業、町工場でのちょっとしたホームページブームが起っている。これがなかなかおもしろい。 一般論だが、BtoCとBtoBの中小企業サイトを比べると、まだまだレベル差は大きい。BtoC事例の多くは消費者への直接販売を手がける。口うるさい消費者に日夜鍛えられている分、ウェブも顧客サービスも日々向上しているからだ。一方BtoBの方はかなりおっとりしている。多くの場合は「ホームページを作った」ところで満足し「ウエブを受注に結びつける」ステップには到達していない。「作って満足」と「商売に役立てる」との間には大きなギャップがある。これはウェブを一目見ると大体推測がつく。「作って満足派」の場合は、トップページに無駄が多い。立派な社屋の写真、場合によってはきれいな富士山なども登場する。その隣には「前進・躍動・進歩」などとキーワードが並ぶ。「お客様に心からご奉仕する」などという場合もあるが、この種の当たり前の言葉はウエブでは禁句だ。単なる「技術に優れた」も厳禁である。何に比べどう優れているのかを具体的に書かねばならない。一方「商売貢献派」のウエブは、自社の特徴を徹底的にトップページから打ちだしている。 中小BtoBサイトは「社長挨拶」が好きだが、これまたよく考えた方がいい。利用者が最もウェブで読みたくない情報の1つだからだ。登場したいなら、トップの言葉で徹底的に自社の特徴を語るべきだろう。 「作って満足派」は情報鮮度への感度も悪い。新着情報などと書いているが、日付は1年前だったりする。最近は1年が20年のマウスイヤー説が主流だから、20年前の情報を載せているということになる。もっともこれを指摘すると、「製造の分野」ではそんなに毎日新しい情報は現れないと反論されるが。 最近はフラッシュという技術を使った動きのある画面が流行っている。中小BtoBサイトも例外ではない。ただし動きがあるといっても、社名がトップページでヒラヒラ動くといった程度。動きがある分、逆に見るものをイライラさせてしまい、商売にはほとんど貢献しない。 12. 小売業は自己否定を〜ウエブで顧客の不満を解消〜:2002.11 実店舗とネットの商売とでは、どちらがサービスのレベルが高いか。これは過去延々と繰り返されてきた議論の1つだ。実店舗の経営者は、あまり疑いを持たず「実店舗」と答える。 例えば百貨店のスーツ売り場に行くとしよう。店員さんが「あーら、奥様、それお似合いですわよ」と声をかけ、次のステップに進もうとする。今の消費者はこれがイヤなのだ。売る側がサービス満点の対面販売と思っていることが、客にとって「プレッシャー・セールス」になっている。これを解消するのがネット販売だ。自分のペースで選択可能。情報も心ゆくまで探索出来る。相手の好みもスタイルも確かめない口先だけの「セールストーク」から解放される。ネットの商売を別名「プレッシャー・フリー・コマース」と呼ぶ。客を購買時点のプレシャーやストレスから解放するという意味だ。この視点がないとネットでの成功は難しい。だが実店舗経営者にとってはこれは過去の商売の「自己否定」につながる。百貨店等体質の古い小売業の多くがネットで成功しない理由の1つは、「自己否定」を恐れるからだろう。 顧客志向とは縁遠かった業界が、ネットの商売を始め、「体質」が変わる事例もある。好例は銀行だ。初期の銀行のホームページは全くの横並び。写真付きの頭取挨拶がまず出てくるようなパターンであった。だがオンラインバンキングが始まると事情は変わっていく。今ではサービス業の中でもウェブの使いやすさのレベルは高い。振り込み相手の入力エラー等の場合、初期の頃は、連絡もせず手数料だけをいきなり引き落としていたが、今ではコールセンターから連絡があるケースが多い。口うるさいユーザーに日夜向き合わざるを得ないウェブでは、自ずとサービスレベルは向上していく。 もっとも銀行の店舗に行くのが大好きだ、という消費者はあまりいない。多くは面倒と思いつつも仕方なしに出かける。この面倒さがオンラインバンキングでは見事に解消される。実店舗の「不満の種」をネットで解消する。「不満の種」に早く気付くことがネットでの成功のヒケツでもある。 13. eメール販促の限界〜同質化は大量配信で陳腐化も〜 アメリカのオンライン小売業団体(shop.org)は毎年、ネット小売業の現況に関するレポートを出している。今年8月に発表されたレポートの注目点は、様々なマーケティング手段の効率性を指摘していることだ(THE STATE OF RETAILING ONLINE 5.0)。つまりネットの商売では、どのような販促が有効かが一覧できる。結果は明らかだ。バナー広告は最も効果の低いものの1つ。かってもてはやされた「比較エンジン」などもイマイチだ。一方最も効果があるのは「自社の顧客リストに対するeメール販促」である。ただし「見込みのありそうなリスト」に対するeメール販促は、実施企業が多い割には効果は期待できず、という結果であった。 ほんの2年程前はeメールマーケティング(eMM)といっても「何、それ?」という反応であったが、今では日本でも加熱気味。eメールを制するものがeコマースを制する、というのが常識化している。一部の中小企業では、ウェブの店は単に看板で、メルマガで売上げの半分以上を稼ぎだすような事例が出現。eMM熱は一気に加熱した。一見ばら色に見えるが、問題も出てきた。 まずは「見込みのありそうなリスト」へのeメールがほとんど役に立たない、という事実である。外部のリストはもとより、懸賞やプレゼント目当てに登録してくれたリストにも疑問符が付く。結局役立つリストとは、コツコツ作ってきた自社の得意客名簿でしかない、ということだ。ネットでは顧客情報が簡単に集まるだけに、メールアドレスを大量に抱え自己満足に陥っているような事例が増えている。 「悪貨が良貨を駆逐する」現象も起り始めた。ゴミのようなメール、未承諾広告メールが溢れかえり、本当に必要なメールが埋没してしまう。1説には、1日に受け取るメール総数が50を越えると、eMM効果は半減するとのことだ。 ノウハウの陳腐化ということもある。一時は店主の思い入れたっぷりのメルマガが週3回届くことを面白がった消費者も、次第にうんざりしてくる。中小店の場合ノウハウの共有が進んでいるから、似たようなタッチのメルマガ洪水なのだ。eMMは正しく展開すれば効果は抜群。だが「効果逓減リスク」「陳腐化リスク」を内在する手段でもある。そろそろ「ポストメルマガ」(メルマガ以降)のシナリオも用意しておく必要もありそうだ。 14. モバイルコマース急伸〜「パソコンより携帯」層が主導〜 モバイルコマースが好調だ。2001年の市場規模は1200億程度。前年対比2倍以上の伸びを示している(ECOM他:平成13年度電子商取引に関する市場規模・実態調査)。当初は着メロのダウンロードなどエンターテイメント系の利用や、航空券、書籍等が中心であったが、ここにきてファッション、化粧品等携帯電話経由の購入商品が多様に広がっている。 携帯電話の女性向け情報サイト「ガールズウォーカー」では、既に携帯経由のネット通販売上げが月1億を突破。化粧品、香水、アクセサリー等が若い女性に売れている。 モバイルコマースのマーケティングは割とシンプルだ。なにしろ、携帯電話の利用スタイルがいくつかのパターンにはっきり分かれるからだ。タイプ1は「パソコンも携帯も活用」という共用派だ。当然パソコン経由でウェブに慣れ親しんでいる層である。ビジネスマンに多く、書籍、航空券等はモバイル経由で購入するタイプ。「パソコンと携帯の情報共有」等には熱心だが、着信したDMメールにすぐ反応し、思わず商品を注文してしまう、といった「機動性」には少々欠ける。これに対してタイプ2は「携帯イノチ」のヤング層だ。「携帯があればパソコンなんていらない」「暗やみでも携帯のテンキーを使いメールが打てる」と豪語するコギャル軍団に加え、子育て中の主婦層にも意外と多い。加えて、携帯は電話として使えれば十分とする「モバイルコマース拒否層」も存在する。有望ターゲットは明らかで、まずはタイプ2,自社のビジネスの性格に応じ、タイプ1を視野に入れればよいということだ。 もっとも、タイプ2相手の商売は既に激戦区。しかもヤング層相手のコンテンツ力も要求される。「我が社もそろそろ携帯通販でも」という企業には、少々難易度が高いかもしれない。 15. 中高年女性を取りこめ〜手ごわい初心者、戦略再構築を〜:2002.12 日本のインターネット人口が100万人などと言われていた頃、ユーザー層はほとんどが「理科系男性」中心であった。その後、ビジネスシーンには順調に浸透。OL層、ビジネスマン層のほとんどはネットに慣れ親しむようになる。だが、中高年女性となると、つい最近まで蚊帳の外であったのだ。ところがこの中高年女性のネット利用が増えている。彼女達は、今のところはメールに夢中だが、結構出会い系サイトなども覗いているらしい。平均年齢は60才前後だが、ネットでは25才位に化けているとの噂である。いずれeコマースの世界に「乱入」してくることは確実だ。 彼女達は、ネット初心者、eコマース初心者である。その初心者マーケットに、今のeコマースサイトがきちんと対応しているか、となると極めて疑問である。そこで中高年女性を中心とするビギナー層の特徴を整理しておこう。まずは「検索」が大嫌いだ。この点検索からダイレクトに購入することの多いベテランユーザーとは正反対である。商品分類をたどって気長に商品を探すなどということも大嫌い。消費者としては目が肥えているので、ネットの数ある名店も「この程度なら近所の店の方がいいワ」などとバッサリ切り捨てる。デパ地下、カタログ、テレビショッピングと、豊富な選択肢をもっているだけに、ネットの店を見る目は厳しい。それでいて価格にはうるさい。送料、手数料の類いにはやたらに厳しく、「送料、消費税込みのポッキリ価格」販売がお気に入りである。オンラインスーパーにも結構関心があるが、A社は5000円以上は送料無料、B社はいくら購入しようと送料は500円と説明すると、B社は絶対利用しないとのことであった。 日本のネットの店の多くは、ネットを熟知したベテランユーザーに日夜鍛えられ、育ってきた側面が強い。ところがここにきて、これらの店で前年割れ、あるいは伸び率が低下し始めたケースが増えている。書籍やパソコン販売などが典型だが、もはやターゲットとすべき顧客層は開発してしまい、市場の伸びが落ち始めているのだ。となれば、今後の切り札は「初心者マーケットの開発」なのだが、ベテランユーザーを相手にしてきた店ほど、初心者向け商売は下手なのだ。使っている言葉、店の利用の仕方、商品の説明の仕方等、「パソコン始めて」の人の視点に立って作られていない。原点に戻って、見直す必要がありそうだ。 16. メーカーサイトに迷い〜流通業に配慮、位置づけ揺らぐ〜 メーカーのeコマース戦略には迷いが目立つ。理由は既存の流通チャネルとネットの位置づけが整理できていないからだ。 メーカーのeコマースにはいくつかのタイプがある。まずはトヨタのGazooのような総合商店街を目指すもの。自動車関係以外に百貨店のような一般ショッピング機能も担わせる。松下電器のLifeVitも当初はこの発想であった。どちらも日本を代表する超大企業だが、このeコマース戦略が大成功かというと、むしろ逆であろう。トヨタのサイトで、ミソや米を買う必然性が消費者にはないからだ。松下電器は、LifeVitともう1つのeコマースサイトPanaSenseとの意味の違いが消費者にはさっぱりわからない。社内、系列店への気配り、配慮といった内部事情が、サイトにそのまま反映されてしまっている。いずれにせよ、「我が社は超大企業だから、本業商品以外に色々手がけられる」と思って成功した例はいまだ存在しない。 タイプの2つ目はソニーが展開するソニースタイルだ。ブランド、商品を絞り、本格的な直販サイトを展開する。パソコンなどは決して量販店より安くはないが、限定仕様等ソニースタイルで買うことの付加価値が明確に演出されている。既に年商100億ラインを越えていると言われるから、eコマースの売上げ規模としては合格点である。 パソコンメーカーの多くはBTO(ビルト・ツー・オーダー:顧客仕様にカスタマイズして販売すること)サイトを展開している。これも勝ち組はブランドイメージの明確な一部のみ。個人市場でシェアの低いブランドのBTOサイトは、いずれも活気がなく、ウェブで買うメリットの演出も下手である。 化粧品メーカーは最も悩みが深い業種の1つだ。そもそも某社のトップは、「eコマースでは消費者満足は獲得できない」と公言していた。店での対面型のコンサルティングセールスこそ、化粧品販売の王道というわけだ。だが消費者はそうは思っていない。うっとうしいと思う人が激増している。化粧品会社もその流れは承知で、ウエブ上で高度な情報提供を行っている。肌診断、肌タイプに合わせた商品提案などは、各社の標準機能だ。 17. 来店者の購入比率が低下〜初心者中心にあきらめ派増加〜 eコマースには特有のキーワードがある。その1つが「コンバージョン率」だ。コンバージョンとは転換と言う意味で、「来店者が注文等のアクションを行う割合」とでも訳せるだろう。この言葉はウエブ広告でも使われ、プロモーション等で誘導してきた人が、会員登録や資料請求をした比率を意味する。 実店舗とネットの商売ではこのコンバージョン率が大きく違う。ネットの物販店で例えば100人来店したとしよう。注文に至ったケースは数%程度。優良店でも8%といったレベルである。とにかく来店者対比アクションに結びつく比率がそもそも低い世界なのだ。 一方、日本の店の場合、コンバージョン率が8%程度という事例は結構存在した。マーケット自体が小さく、限られた顧客層に対し濃密な商売が原点であったからだ。だがこの水準が低下し始めている。かって8%を誇った大型専門店では今や4%程度。年々向上しているアメリカに対し、日本は早くも低下傾向が散見されるのだ。これまで倍々ゲームで売上げを伸ばしてきたいくつかの店も、前年割れ、伸び率の低迷を口にする。来客数は変わらないが、購入者が減っているのだ。 低下の理由を推測するに、1つは売上げの伸びが鈍化し始め、対応策として品揃えの幅を広げたことがあげられる。これが奏功せず、逆に専門店としての特徴を薄めてしまったということだ。結果的に店はのぞくが、買わないで帰ってしまう人を増やしてしまった。 18. マルチメディア端末苦戦〜サービス・利用者が限定〜:2003.1 マルチメディア端末がeコマースの主役となる、という話はネットの商業利用が始まった当初から存在した。マルチメディア端末とは、小売店等の店頭に置く銀行のATM(自動預け払い機)のような形をした機械で、マルチメディアキオスクとも呼ばれる。要するに、「この箱を利用すると、買い物やチケット入手など色々便利ですよ」というコンセプトである。だが、思惑とは裏腹に、なかなか離陸しない。 マルチメディア端末に最も熱心なのはコンビニ業界だ。ローソン、ファミリーマート、セブンイレブンはそれぞれ、ロッピー、Famiポート、セブンナビを導入中。もっともセブンナビについては「店頭eコマース事業」の見直しが決定し、音楽配信、デジカメ印刷等のサービスは中止の方向とのことだ。マルチメディア端末さえあれば、「いつでもどこでもeコマース」と言われたものだが、実態はかなり異なる。 理由はいくつか考えられる。まずは「始めに端末ありき」であること。96年頃だろうか、某メーカーに「カード決済も可能なマルチメディア端末」を見せられたことがある。人間が3人は入りそうな巨大な箱で、「さあ、何に使えるか考えてくれ」と言われ、思わず絶句した。ニーズ、用途が明確で、その受け皿として端末が登場したわけではない。「技術主導、ニーズ開発後回し」の典型的な事例であった。 第2には利用者層が限定されることだ。知り合いののコンビニ店長に尋ねたら、利用者は「いつも決まった人が夜中に利用している」という答えであった。確かに、多機能で便利だが、その利便性が一部の層にしか受け入れられていない。利用する人は利用するが、しない人は永久にしないという図式だ。 第3に、マルチメディア端末を利用したいとするサービス内容が限定されることだ。ニーズの上位はチケット関係に集中する。保険、車検、デジカメ印刷とメニューを並べてみても、基礎ニーズが少なく、わざわざ端末を利用する必然性に乏しい。最後の理由は、利用のしにくさだ。この種の機械は利用ステップが1つ増えれば、利用者は半減するという経験則がある。駅の券売機程度の単純さでなければ、利用者層の拡大は難しい。「好んで利用してみよう」という層は自ずと限定される。マルチメディア端末がeコマースの主役となるにはまだまだ時間がかかりそうだ。 19. 購入断念率から学べ〜入力簡単に、決済も多彩に〜 オンラインの店と実店舗との効率性の違いを示す指標の1つに「ショッピングカート断念率」がある。ショッピングカートに商品を入れておきながら、レジを通らない割合ということだ。それぞれの頭文字をとってSAR(ショッピングカート・アバンドンメント・レイト)と呼んでいる。このSARだが、アメリカの統計で大体53%という水準だ。半分以上の人は、折角カートに商品を入れたのに、買うのを止めている。この比率は、早く創業したオンライン専業の店では低く、オンラインでの商売経験の少ない実店舗小売業では高い傾向がある。つまりネットでの商売経験の長短が大きく影響しているわけだ。 なぜ半数以上の人が、折角カートに商品を入れながら購入に至らないのか、理由を考えてみよう。第一は実店舗との違いだ。近所のスーパーでカートに商品を入れたまま放り出して店を出てしまうということは行いにくい。一方カートに入れた商品が不要になってわざわざ棚に戻しに行くのも面倒くさい。結果的に実店舗のSARはネットの店に比べはるかに低い。大概の人はカートに商品を入れたら、そのままレジを通過している。 もう1つ重要な理由がある。ネットではチェックアウトのプロセスがかなり面倒だ。何やらID番号やパスワードを要求される。だが、ID化することで顧客側にどのようなメリットがあるのかはさっぱりわからず、いやになってしまう。さらにチェックアウト処理には関係のない、個人情報の入力を要求されたりする。未既婚、生年月日、趣味等々。これでSARはさらに上昇する。チェックアウト画面の設計が悪いという問題もある。最終段階でもう1度商品詳細を確認しようと思っても出来ない場合、入力を間違えて前の画面に戻ると、正しく入力した情報も全部消えていたりする場合もある。決済方法の選択肢が少ないという理由もある。折角買う気になったのに、代金引き換え方式しか選択できないという場合だ。オンライン経験の長い店は、これらの問題を日々の商売を通じコツコツ解決してきた。売れない店はチェックアウトプロセスをもう1度見直してみる必要がある。 20. ずれている企業サイト〜重厚長大に多い「お知らせ」型〜 今回はいわゆる重厚長大産業のウェブの現状を取り上げてみよう。例えば鉄鋼業界が好例だ。過去、日本経済をリードしてきた超大企業が多いが、ウエブとなると、活用実態はイマイチだ。消費財メーカーの場合、ウェブはマーケティングに役立つことが大分分かってきた。例えば消費者の反応をつかみ、商品開発のヒントを得る、ウェブを活用した新商品キャンペーンを行う、といった利用法が一般的になってきた。ところが消費者との接点が乏しい重厚長大産業の場合、具体的なマーケティング利用の形が見いだしにくい。新日鉄等を見ると、デザインはきれいだが、広報部主導の「企業情報発信」が中心で、あまり商売に役立つ形とはなっていない。重視されるのは「新着情報」や「ニュースリリース」の類い。別にこれが悪いわけではないが、ウエブの活用法としては第一世代の形だ。 商品や事業部紹介の内容を見てみると、ほとんどは各部、各カンパニーに丸投げの状況だ。内容もデザインもマチマチ。各部ごとにアクセスカウンターがついていたり、ある部ではいきなり英語ページが現れたりする。推察するに、事業内容を統一的に編集し、発信するウェブマーケティング担当が不在のようだ。おまけに、企業によっては、各カンパニー長の時代錯誤的な挨拶がそれぞれに登場し、見るものをうんざるさせる。利用者が知りたいのは、商品や事業のことで、別に組織やカンパニーの話ではないのに、この辺の感覚がかなりずれている。 鉄鋼業界といえば、今は合従連衡の真っ只中だ。企業としてどう考えるのかをウェブで伝えてしかるべきだが、このあたりの「コーポレートステートメント」(企業としてのお知らせや主張)があまり見受けられない。単に「お知らせ」や「持ち株会社」の中身の薄いページにリンクされるのみ。 商品や事業に関心を持った人が問い合わせをする受け皿がついていないケースも多い。「ウチみたいな大企業は、ウェブでなんか商売はこないヨ」と思っているのだろうか。例えそうであっても、ネット時代のスタイルからは少々遅れているように見受けられる。 21. 情報仲介サイト好調〜メーカー系より第3者型〜:2003.2 インフォメディアリーというビジネスモデルが好調だ。インフォメディアリーとはインフォメーション(情報)とインターメディアリー(仲介業)を合わせた造語で、情報仲介業とでも訳せるだろう。売り手、買い手がそれぞれ必要としている情報を、第3者の立場で仲介する。ネットでは売り手と買い手が散在し、直接的な出会いの確率が低い。ここを何らかのコンセプトでつなぐ「お見合い」「仲介」ビジネスは、もっともネットらしい商売の1つでもある。 最近おもしろいのは、「消費者参加型商品開発」を手がけるインフォメディアリーだ。空想生活、たのみこむといった事例がある。消費者が発案した商品コンセプトを企業に仲介する。消費者はアイデア出しから、仕様検討まで原則全てのステップで開発に参加。最小ロットが確保された場合には、生産企業を確保し、受注生産を行う。自分のアイデアを製品化し、購入することが可能となる。 一方消費財メーカーも同様のことを行っている。自社サイトで会員を募集し、開発アイデアを募ったり、提案する商品コンセプトに対するアンケートを行ったりしている。こちらの方は、今1つ成果が見えにくい。東芝主催の「家電生活」は昨年サイトを閉鎖。「消費者参加型」を銘打つ他企業も、実際には単純なコンセプト評価に留まる事例が多い。確かにネットは消費者ニーズが得やすい場だが、それを開発に活用するには、まだ課題も多い。 eコマースには様々なステップがある。まずは「顧客獲得」のステップ。獲得した来店者を確実に購買に結び付けるステップもある。ビジネスの効率性を高めるには客単価アップの様々な仕掛けの検討も必要だ。顧客固定化も重要な課題。各ステップにはeコマース特有の手法がそれぞれ存在する。 顧客獲得の手法には様々なものがある。バナー広告等を使い、ネット上での「存在感」を高めるもの。懸賞やプレゼントの実施から来店を促進したり、顧客名簿を獲得する手法。見込み客リストに対するeメールマーケティングも盛んに行われる。もちろんオフラインの既存メディアを利用した広告宣伝も手法の1つ。ここにきてこれらの手法の効率性が厳しく問われ始めた。費用対効果ももちろんだが、各手法により集ってきた客が、本当に「良い客」になる可能性があるか、ということが重要なのだ。バナー広告、懸賞・プレゼント手法や、「見込み客」に対するeメールマーケティング等は、「お得意様候補」を集める手法としてはかなり問題あり。これに対し、口コミで集まる客、各ジャンルのポータルサイトからやってくる客等はなかなか有望、といったことが言われている。最近、特に注目が集っているのは検索エンジン対策だ。これをSEO(サーチ・エンジン・オプティマイゼーション:検索エンジンの最適化)という。キーワードで検索した時、主要なサーチエンジンの上位に位置することが重要だ、という考え方で、様々なシステム、手法が開発されている。確かに検索エンジン経由の利用者は、そのジャンルへの関心が高く、アクティブな顧客になる可能性が高い。あらかじめターゲット化されているだけに、効率的なマーケティングが可能となる。 もっとも問題がないわけではない。検索エンジンからの来訪者はネットに慣れた目の肥えたベテランユーザーが多い。上位に位置されたサイトに対する評価、満足度の水準はかなり厳しいのだ。検索エンジンの最適化は確かに重要だが、まずは自社サイトのレベルチェックが先決ではある。 23. 卸型サイトが健闘〜第3者の仲介機能に脚光〜 eコマースの黎明期にはしきりに「卸不要論」が叫ばれたものだ。確かに売り手と買い手が直結可能なネットでは、中間機能の存在は一見不要だ。だが、現状eコマースの「勝ち組モデル」の多くは、売り手と買い手を第3者の立場で仲介する仲介モデル、マッチングモデルだ。よくよく眺めればこれは卸の機能そのものである。 ネットで活躍する卸売業出身者は結構多い。小売不況が続く中、従来の取引先中心の商売では、なかなか活路が開けない。そこで目をつけたのがBtoCの世界だ。卸のネットワークを活かし、専門品を深く広く集める品揃えの店が多い。代表例は菓子材料、菓子用品を扱う「cuoca」、台所用品を扱う「厨房屋」等。卸ならではの情報力、品揃え力が活かされた立派な専門店を展開している。 これが思わぬ付随効果をもたらす。ネットのBtoCの世界は、いわば日夜顧客に鍛えられ、成長していくようなものだ。これが商売のCS(顧客満足)レベルを向上させる。結果的にそれが従来の小売り相手の卸の商売に好影響を与えていくのだ。さらにネットではBでもCでもない「中間顧客」、例えば食材であるなら、喫茶店、ペンションといった客が開拓されていった。 ネットでバーチャルな卸売業を展開するケースも出ている。代表例は「オンライン激安問屋」を展開するラクーンだ。今期売上8億を見込み、黒字化も達成している。ラクーンはメーカーから「小売りによる未引取品」「過剰在庫」「型落ち品」を引き受けこれを小売りに転売する。出品メーカーの匿名性は確保され、ラクーンは品質保証、クレーム対応の他、自社倉庫での検品、商品の小口化、配送の役割を担当する。まさに卸機能そのものだ。メーカーに取ってみれば在庫処分の新たな手段が確保でき、小売店にとってみれば店頭の販促に利用できる商材が安く手に入る。 最近の若い小売店主は従来の卸機能にかなり不満を持っている。商品ロットはニーズに合わないし、情報提供力にも疑問を持ち始めている。最近増えてきた女性起業家は、従来の人間関係中心の営業スタイルを敬遠する傾向もある。この小売業の持つ不満はネットを活用すれば十分に解消可能だ。新たな卸の活路も見いだせるはずである。 24. 動画配信重視に危うさ〜常時接続の増加こそ商機〜 ブロードバンドによる接続が浸透し始めた。昨年12月末現在、家庭からのブロードバンド接続人数は1132万人、家庭ユーザー全体に占めるシェアは42%とのこと(ネットレイティング社調べ)。ブロードバンド利用者が多数派に転じるのも遠い話ではない。 ブロードバンドは確かに「高速・大容量」の接続を可能にする。だがもう1つの意味「常時接続」の方が重要だろう。ブロードバンドユーザーの増加は「何でもネットに聞いてみる」という習慣をもたらす。従来、疑問、調べ事は本を買う、電話をかける、人に尋ねるといった方法を取っていた。これがネットに集中し始めている。中小企業でもホームページを持たないということは、この疑問への受け皿がないということで、商売をしていて電話がないのと同様の意味になり始めている。今のブロードバンド議論は重たいコンテンツを流通させる話ばかりが先行しており、本質をはずれているような気がしてならない。 同様の議論はオンラインショッピングにも影響している。「ブロードバンド対応ショッピングサイト」が増え始めたが、内容には疑問が残る。テレビショッピングと共通のコンテンツを流すもの、商品紹介に動画画面を組み入れたもの、立体映像やマルチアングル(様々な角度からの映像)を取り入れたもの等内容は様々だ。だが説得力に欠けるのだ。しかもこれらのコンテンツを見るには一定時間「拘束」されることが前提だ。これがかなり苦痛である。「情報の主体的な入手」が特徴であったウェブの世界のルールとはかなりはずれるように思える。 もちろんこれらのブロードバンドコンテンツを全面的に否定するつもりはない。だがことショッピングに関しては、従来通りのテキスト情報プラス静止画中心の売り方がすたれることはなさそうに思える。動きのある画面もあってもよいが、商品情報提供の選択肢あるいは付加価値の1つ程度の位置づけではないだろうか。現実問題動画ショッピングをネットで行うより、テレビ通販を寝っころがって見ている方がはるかに楽なのだ。 25. 4つのオキテ~基本は「買い手主導」:2003.3 ネットの商売には特有オキテがある。eコマースの負け組は概してこのオキテを理解していない。 「利用者主導」も同様だ。そもそもネットは利用者が主導権を持つ場だ。主体的に情報を選択し、その後の利用プロセスを自分でコントロールする。初期にはこれを「プル型」(情報を自分で引っ張ってくる)と呼んだものである。このことは全てに影響する。プル型の利用に対応するには、サイトの使い勝手が重要だ。ここから「サイトのユーザビリティ」(使い勝手)という発想が生まれた。情報をわかりやすく端的に示すことも重要な要素の1つ。ここからは「情報デザイン」(情報を意味のあるくくりでまとめる技術)という概念がクローズアップされる。ネットの活用が進まない企業は、従来の商売に比べ、客の主導権がはるかに増していることを理解していない。eコマースであれば、価格の提示の仕方、情報の見せ方、決済プロセスの設計の仕方等全ての要素に「利用者主導」のオキテが貫かれていなければならないのだ。 オキテその2は逆説的だが「商売の本質は変わらない」ということだ。結局のところネットも実店舗も商売の本質は変わらない。負け組企業はネット担当にシステムやインターネットに強い人材を抜擢したりする。一方勝ち組の方は、実店舗、実営業の世界での実力派を登用する。この差が大きいのだ。 オキテその3は「特徴、専門を持つことこそ賢い」ということ。「スペシャルイズスマート」と表現される。負け組の多くは、「スペシャル」の見せ方が下手だ。総合力のあることを相も変わらず誇示する。ネットでは「総合」より「専門」がエライということを理解していない。 オキテその4である。これは実に厳しいルールだ。「ノウハウの陳腐化リスクを覚悟せよ」ということだろう。例えばeメールマーケティングがもてはやされても、そこにはすぐに限界が見えてくる。普及速度が早く、しかも消費者が飽きるスピードが早い。絶えず新たな模索が必要とされる厳しい場だ、という理解が不可欠なのだ。 26. 実店舗との競争が激化〜「ネットならでは」に落とし穴〜 実店舗含めた「業態間競争」が激化している。ネットの利用を減らし、実店舗やカタログに移行する人も出てきた。当然の結果である。eコマースが普及するにつれ、それはもはや特殊なものではない。様々な選択肢の1つだ。だが売り手の方は、「ライバルはネットにあり」と思っている。ネット上での「存在感」を高めることだけに勢力を注いだりしている。「視野狭窄症候群」が蔓延中だ。 今、実店舗がおもしろい。デパチカも楽しいし、近所の商店街でも結構発見がある。情報を自ら掘り下げねばならないネットの店に比べ、明確な品揃え方針のある実店舗は、商品の一覧性や演出力の点で一日の長がある。 かって倍々ゲームで売上を伸ばしてきたサイトで、前年割れや伸び率の低下が起きている。理由は「なぜネットで買うのか」に対する明確な答えがぼけてきているからだ。私たちは買い物をしたいのであって、その手段や場所はどこでもいいのだ。市場の大きさは微増か横ばい。一方業態間競争が激化するとなれば、eコマースのシェアは当然低下する。 その視点でeコマースを見直してみると、様々な欠点が目に付く。まずは「ネットならではのノウハウ」にこだわり過ぎだ。確かにネットには特有のノウハウがある。「検索から買う」「比較購買をする」「リコメンデーションから買う」といったもの。あるいは「他の客の評価を参照する」「星印、ランク付けを参照する」といった売り方もある。トップページの構成ノウハウは最も重要だ。何しろ、性急な利用者に瞬時にサイト内容を理解してもらわねばならない。非対面の弱点を補うハイタッチさの演出も重要だ。だがこれらのノウハウを全て実現することが目的化した「自己満足症候群」のサイトが目立つ。 ネットに求めることの1つは「今日の発見」だが、その演出が希薄だ。「今日のお買得」とあるが、昨日と変わっていなかったりする。変化の演出も大切だが、そのパワーを持続するのは大変だ。ここがマンネリ化しているサイトもある。 27.失敗の必然〜大企業トップの自己過信〜 日本マクドナルドのeコマース計画がとん挫した。2002年2月に事業会社を創設したものの、1年後にはeコマースからの撤退を表明。実施に至らず計画段階で撤退した希有なケースだ。「傷を広げない内に」というこの判断に関しては、さすがマックというべきか。だが、これは「失敗の必然」である。 当初計画発表時に、関係者のコメントが雑誌に載っていた。「マックは夜間は店が閉まるが、eコマースなら24時間稼いでくれる」との趣旨の発言だったように記憶する。仮にこれが本心なら、かなり稚拙な判断といわざるを得ない。このような理由で参入して成功したケースはいまだ存在しない。eコマースの本質を明らかに見誤っている。 最大の敗因は「基礎ニーズの見誤り」だ。私たちはマックの店にハンバーガーを期待するのであって、別にその場で買い物をしたいとは思わない。おまけにマックに一般の物販は期待しないだろう。様々な買い物の選択肢がある中で、「なぜマックで?」という理由が明確でない。消費者サイドからみると極めて当たり前なこの感覚が、社内関係者には理解できないことが多い。日本のeコマースの敗因の多くはここにある。 かって楽天が日の出の勢いで成長していた頃、何社ものトップから次のような話を聞いた。「楽天にあれが出来るのなら、ウチでも出来そうだ」。事実「どうしてウチでできないんだ!」とのトップの一声で社内が右往左往した事例も目撃した。答えは明らかにノーである。だが当事者、特にトップはそうは思わない。「ウチみたいな超大企業なら」「ウチの拠点を活かせば」「ウチのブランド力を活かせば」という幻想に陥る。残念なことに、ネットの世界では消費者は「本業イメージ」以外のことをほとんど期待しない。銀行がショッピングモールを運営して失敗した例、家電メーカーが自社サイトでブランドもののバッグを販売して女性消費者に笑われた例、等枚挙にいとまはない。いずれも「我が社なら・・」という自己過信の罠に陥った例だ。 「失敗の必然」にはもう1つパターンがある。特にBtoCで多い。BtoCの商売はコツコツ売上を積み上げていく世界だ。ここへ「100億の商談をまとめて数億の手数料を取る」といった商売に慣れた商社などが乗り込む。しかも川下ビジネスへのノウハウがあまりに少ない。これまた確実に失敗への道をたどるというわけだ。 28.eコマースの原点〜常識外れの発想〜 本稿も最終回だ。一体何が「再考」なのか、まとめてみることにしよう。 ネットビジネスのおもしろさは、何と言っても常識はずれな奇想天外な発想であった。大体書店の商品数はせいぜい数十万点なのに、ネットでは300万点を揃えてしまう。今でこそ当たり前になった「逆オークション」だの「共同購入」といった仕掛けは、誕生当時、思わず吹き出したものだ。ネットは本来こうした「現状破壊力」を持つビジネスなのに、どうも日本では「現状肯定力」が優先してしまう。eコマースの原点は、「現状の何を破壊するのか」なのだ。 eコマースに携わる人は、概して真面目なので、「ビジネス利用こそネット活用の王道」と信じて疑わない。だがこれは世の中の動きとは全然違う。最近地方で「ホームページコンテスト」のようなものが開かれる。「ビジネス」「チャイルド」「ボランティア」「ブロードバンド」といったジャンル別に応募サイトを募る。審査員をいくつか経験した感想からいえば、一番精彩がないのが「ビジネス部門」だ。ビジネスはネット活用のほんの一部。ネットビジネス関係者が「収支計画」だの「マーケティング」だのに頭を悩ませている内に、「非ビジネス」の素晴らしいサイトが溢れてきている。これらの楽しいサイトを眺めた後に「ビジネス」を眺めると、どうもヘンだな、という印象を持ってしまう。なんだか楽しくない。 eコマースの原点は「顧客の声に耳を傾け、絶えず変化し、商売を楽しむ」ことに尽きる。この原点をもう1度見直してほしいと思う。終わり |
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