| 再考・・中小企業のホームページ活用法 アクセスさいたま2003.4 | |
| IT革命と言われています。インターネットに代表されるITが、生活、社会、企業の諸側面に入り込んできました。中小企業も例外ではありません。中小企業の経営現場ではどのように活用されているのでしょうか。問題点はどこにあるのでしょうか。ホームページを中心にその実態を取り上げてみましょう。 1. 中小企業のホームぺージ活用実態は? ●大多数は「宝の持ち腐れ」 ホームページの何よりのメリットは、誰にでも開かれたメディアであることです。大企業の専有物でもなく、コストがそれほどかかるわけでもありません。個人が組織に負けないほどの情報発信を行う事例もあります。 昨年の調査結果ですが、インターネットを導入した中小企業のうち、既に68%が自社のホームページを開設しています。「全く予定なし」と回答したのはわずか15%(図1:略)。つまり今では自社ホームページを持つことは、商売上電話やファックスを備えるのと同程度の意味合いになっているのです。 事実、中小企業の経営者の方に話を聞いてみると「ウチでもホームページを作ったんだけど、さっぱり活用できていない」という声があがります。そうした悩みを持つ企業のホームページを眺めると、共通の特徴があるのです。トップページを見ると一目瞭然。次のようなパターンです。まず目立つのは、自社社屋等のきれいな写真です。あるいは何の意味かよくわからないきれいなイラスト等。隣には「躍動・前進・進歩」といったキーワードが並びます。内容はといえば、まず出てくるのが「社長挨拶」の類い。会社紹介もてんこ盛りで平板です。要するに紙の会社案内をそのままネットに載せただけ。中小企業の場合、「求人」「リクルート」を目的にホームページを作ることが多いのですが、今の学生さんは目が肥えていますから、「躍動・前進・進歩」を見ただけで笑ってしまい、かえって逆効果だったりします。 もっともこのタイプのホームページでもあるのと無いのとは大違い。なぜならホームページは必ず進化するからです。第一ステップは前述の「紙の会社案内型」です。ただこれでも続けていると必ず社内からは「もっと営業の現場で役立てたい」という声が、社外つまり取引先やお客様からは「折角ホームページがあるなら、こう利用したい」という声があがってきます。そしてこの結果第2ステップ「商売に役立つホームページ」に進化します。なお第2ステップが第3ステップに進化することもあります。「折角ホームページがあるなら、直接売ってよ」というお客様の声があがるからです。つまり第3ステップは電子商取引のステップといえるでしょう。 もうおわかりでしょう。活用できていない、というのは第1ステップどまりで、商売に役立つ第2ステップに踏み込んでいないからなのです。 第2ステップ、あるいは第3ステップに到達するためには、ホームページの特性をもう1度理解する必要があります。次のような点でしょう。 1)情報を広く深く掲載できるメディアである つまり商売に活用するためには「自社情報が従来の手段に比べはるかに深いレベルで提供されていること」「利用者本位にサイトが設計されていること」「情報を見て、すぐアクションが起こせるような流れになっていること」「利用者の声、問い合わせ等に対し、敏感に反応できる体制になっていること」等が不可欠なのです。 最近はフラッシュという動く画面の技術を駆使した、一見最先端のトップページが流行ってきました。中小企業の導入例も目立ちます。もっとも画面が動くといっても社名がヒラヒラ飛び回る程度。結局動きのある分、利用者の時間を「拘束」してしまい、イライラさせる結果につながっています。新技術に飛びつくより、まずはホームページの本質を理解し、利用者の使いやすさを最優先することが不可欠なのです。 それでは具体的に「ホームページを商売に活かす」とはどういったことなのでしょうか。次のような利用法があります。 1)見込み客づくり、受注開発に活用する という利用法も出てきます。 この中で最も中小企業にとって重要なのは1)の「客づくりや受注開発」でしょう。ホームページを利用して客を増やすということなのです。これについては後ほど例をあげるとして、2)の固定客づくりとは、例えば優良客専用のページを作ってサポートやサービスを行うといった使い方があります。3)の自社製品の販促とは、キャンペーンやプロモーションとホームページを連動させるようなケースです。例えば中小企業ではないのですが、缶入り飲料等で、製品に個別番号をふっておき、一定期間に3缶以上購入した人が特定のホームページにアクセスし、番号を入力するとプレゼントが当たる、といった手法が大流行です。 4)はいわゆる「ブランディング」といいます。新製品を発売する場合、専用のホームページを作成し、特徴を徹底的に打ちだすといった利用法です。 こう見てくると、ホームページを単なる会社案内やリクルートだけに使うのは「もったいない」ということがおわかり頂けたと思います。事実ホームページ活用の先端企業では、リクルートや会社情報は単に「カンパニー情報」というボタン1つに押し込めてしまっています。これらの情報に用のある人は、トップページでこのボタンを押して下さいというわけです。替わりにトップページでは徹底的に、「商売に役立つ情報」が重視されます。メーカーであるならば、「自社製品紹介」「特徴紹介」が主役というわけなのです。 ただいきなり「商売活用型」のホームページに移行できるというわけではありません。次のような点をチェックしてください。 1)自社の特徴をきちんと整理しているか:自社の強みは何なのか、優れている点は何なのかの洗い直しが必要です。ホームページを作るということは、自社資源の洗い直し作業でもあるのです。 こう見てくると、中小企業ホームページの問題点は次のようにまとめられます。 1)「商売に具体的に活かす」という意識がまだ少ない 往々にして利用者にわかりにくい言葉、ページの流れなどが目立ちます。これはIT初心者の人にチェックしてもらうのが一番です。パートのオバサン、近所の奥さん等に見てもらって下さい。思い掛けない反応を示すはずです。こうした作業を専門的には「ユーザビリティテスト」(使いやすさのテスト)と言います。トップのチェックよりパートのオバサンのチェックの方が実は重要なのです。 トップといえば「トップの理解度」は重要なポイントです。往々にしてトップの無理解がホームページの活用を妨げているケースが多いのです。例えば中小企業のホームページにはアクセスカウンターが目立ちます。これは初期のホームページの遺物のようなもの。個人のページならともかく企業のページではほとんど無意味な代物です。ですがよくよく聞いてみると、「ウチの社長が数字が増えたといって喜んでいるからはずせない」などという答えが返ってきます。ホームページの情報は利用者のためのもの。社長を喜ばせるためのものではありません。またトップたるもの、ITの情報源は広く持つべきです。往々にして「業界団体」「地元の企業・商工団体」「マスメデイア」等に集中しがちですが、利用者はその枠を越えてアクセスしてきます。「異業種を含めた成功企業事例」を自分の目で確かめてみる。eコマースであるならば、自分で購入してみる。こうした姿勢が不可欠なのです。 それでは具体的な活用企業の事例を見ていきましょう。 最近は中小製造業、つまり町工場でもホームページブームが起きています。目的はただ1つ。「受注に役立つホームページ」です。つまりホームページで得意技術、得意分野を示し、それを「問い合わせフォーム記入」につなげるといった形です。もちろんホームページ上で商談が完結するなどということはありません。問い合わせフォームを受け取った後のやりとりが営業マンの腕の見せ所なのですが、まずはホームページ上で関心を持ってもらうことが先決です。 事例の2つ目は三和メッキ工業という会社です。メッキ関係の企業ですが、ここの目玉は「メッキ豆知識」というコーナーです。トップページ自体は無意味なイラストやアクセスカウンターなどが目立ち、まだまだ発展途上ですが、この豆知識欄だけは専門家も舌をまく内容です。ただの一覧表ですが、見る人が見るとその価値がわかる、という代物。「我が社はメッキに関してこんなにスゴイ知見があるゾ」ということを示す内容なのです。たった1ページでもよいですから、「我が社の知見」を示す内容がホームページの活用を促進する好例と言えるでしょう。 ここで直接的な電子商取引以外のBtoCの事例を見ておきましょう。つまりホームページをマーケティングに活用するというケースです。第一は北陸の松木屋という楽器屋さんのホームページです。ここの内容の充実ぶりには圧倒されます。自社商品の紹介はもちろん、楽器の選び方等、単なる小売店サイトの枠を越え、「音楽生活をサポート」するサイトに仕上がってします。掲示板等顧客とのコミュニケーションも充実。地方都市にはよくこういう優れた中小企業の事例が存在します。都会企業の専有物ではない、ということなのです。 2つ目の事例として「トライ・カンパニー」をあげておきましょう。保冷材などを扱う会社です。ここは先日静岡県が主催した「ホームページコンテスト」の入賞企業です。企業の理念や思い入れを親しみやすく紹介している好例でしょう。社員のリレーコラムなどもあり、またQ&Aのコーナーでは「子供が保冷材を食べたら」といった内容も盛り込まれています。中小企業に親しみを覚える内容とインパクトを持った事例です。「暖かさを感じる」といった利用者の声が印象的でした。 なお中小企業とは言えないのですが、万有製薬のホームページも内容を絞り込むという点では良い例です。ここは売上のほとんどは法人需要。つまり病院用商品で消費者向けの大衆薬は扱っていません。しかしホームページの内容は一般消費者を重視しています。「みんなの健康」といった内容の他、一般消費者が利用できる「医学事典」が掲載されています。「すべては患者さんのために」という企業理念を表現する手段としてホームページが位置づけられています。 また中堅食品会社石井食品のホームページも参考になります。食品の安全性が問題になる中、「安全性の情報開示」だけを狙ったサイトを作っています。てりやきハンバークといった製品に付いている品質保証番号と品質保持期限を入力すると、購入商品の原材料、遺伝子組み換え情報等詳細情報が公開されます。つまり「安全性の明示」という企業の考えがあり、それを具体化するサイトを作っているのです。大企業は作成したページ数の多さを誇るキライがありますが、まさに量より質。自社の考えを端的に示すホームページで、企業のブランドイメージづくりに貢献させている事例でしょう</font> B |
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