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金融サービス業におけるサービス再考
保険毎日新聞:97.7(C2−05) |
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■最近、友人たちの間で大流行のものがある。筆者の友人であるので、平均年齢はやや高く、共稼ぎのカップルか、最早結婚はあきらめ仕事一筋の道を選択したワーキングウーマンが多い。一体彼らに何がはやっているのかというと、某外銀の外貨預金である。システム自体は外貨を購入し、満期時に為替差益があれば邦銀の預金に比べ高利率が見込めるという仕組みである。当然リスクもあるわけで、自己責任と自己判断が前提である。
彼女たちの評価ポイントはこうした利回り面のメリットではない。邦銀とは全く異なるサービスの仕組みなのだ。24時間テレホンバンキングが可能なこと、他行から引き出しをしても手数料無料であることなどはよく知られている。だがもっとささいなサービスが好評なのだ。まず記帳は不要で、郵送されてくる月次レポートが通帳がわりである。また日本の銀行であると預金をするとどうでもよいようなオマケをくれるが、この外銀は利用法の説明ビデオと詳細な説明パンフをくれる。こうしたきめ細かさが評価されている。
結果的に銀行に対するイメージが変わったと彼女たちは言う。銀行とは用事のある客が店舗へ赴いて利用するものだと思っていた概念が変わったこと。通帳の記帳などは利用者が自発的に行って当たり前だと思っていたが実は銀行から積極的に連絡してきて当然だということ、利用法といった基本的な情報はこれでもか、という位懇切丁寧に告知することが金融機関としては当然であること、といったことが感想である。銀行とは何かに関する認識が根本的にくつがえってしまったようだ。
この外銀は筆者も利用しているが、まさに邦銀とのサービス格差は月とスッポンでもある。今まで顧客側の作業として当たり前だと思っていたことが、サービスの差別化競争においては全く当たり前でなくなろうとしているのだ。
金融サービス業における顧客サービスとは何かを再考する時期が来ている。レベルの高いサービスに一度馴染んでしまうと、それをレベルダウンすることには今の消費者は最早耐えられないからだ。ビッグバンのリスクもここにあると見るべきだろう。 |
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●金融サービスにおける顧客サービスとは
もっとも日常的な利用頻度の多い銀行と保険とを同列に論ずるわけにはいかない。業種・業態によってサービスのあり方はおおいに異なるだろう。以下は友人たちとの会話から抽出した金融サービス業に望むサービスの方向性である。金融サービス業の人たちは、お客様第一とは口ではいいながら、実際には利用者の声に耳を傾ける体質になっていない。たまには素朴な意見を聞くのも一興である。
1. 銀行:都心に立地する店舗で銀行の支店ほど用事を済ませたら一刻も早く立ち去りたいと思われているところはないのである。まずこの点の理解が不可欠である。サービスは一層利便性の提供に向かわざるを得ないだろう。24時間利用、テレホンバンキングの徹底がまずは基本ニーズである。銀行の利用とはもっともクリエイティブでない日常的行為と思われていることをお忘れ無く。考えてみれば通帳記入などというのも不思議なシステムではある。自分の取引情報は好きな形で好きなように入手出来てしかるべきなのだ。
また各行横並びのようなキャンペーンなどよりも、利用者向けのFUPフプログラムの充実も検討課題であろう。FUPとはフリークェント・ユーザー・プログラムのことで、少なくとも銀行であれば一定以上の預金者、特定の利用形態を行う預金者に対する明らかなメリットを提供すべきであろう。某外銀の評判が良いのはこの点にもあり、海外送金無料、口座維持手数料無料、金利上乗せといった明確なメリットがわかりやすいのも評価されているのだ。
2. 保険:保険に対する意識は昨今の状況を背景に、実に不信感にあふれている。何よりも利用したいサービスは現在加入している保険が適切であるかを診断する第3者的サービスであるという。ある友人は新聞の夕刊広告を見て、こうしたサービスにエントリーした。結果はまだ聞いていないが、保険会社から提供される情報、アドバイス、コンサルティングといったものに全く信頼を置いていないのだ。これまで営々と積み重ねてきた企業活動も一度世の中に逆風が吹くと、一気に崩れてしまう見本のような事例である。こうした第3者的サービスを専門機関、あるいは専門代理店に委ねる意識も一層増加してくるだろう。これは今までの代理店政策、外務員政策では対処しきれず、専門の保険ストアの増大が予想されるところだ。ただ一つ覚えのように「保険の総合コンサルティング」「安心と安全のご提案」といった空虚なフレーズを企業が唱えても無益な時代がやってきているのだ。
3. カード会社:カード会社も消費者側から見れば不満の多い業種である。多重債務問題が社会問題化した後でも、実際の利用状況をカードホルダーが好きな時に確認できるシステムにはなっていない。かなりの手間と労力をかけなければ確認できないのだ。
カード会社はICカード化の推進に熱心だが、ICカード化を狙うのであれば、カード情報は券面で視認できるのが当然である。偽造防止、セキュリティ対策、ネットワーク社会対応といったいわば企業の論理が前面に出ており、ユーザーフレンドリーな使用環境の提供がおきざりにされているようだ。
カードの不満足調査をすると、表面上は加盟店が少ない、割引が少ないといった不満が出てくるが、これをデプスインタビュー等の手法で調査をやり直すと、不満の筆頭は「必要な情報が好きなときに入手できない」といったことである。
企業の論理、競争の論理だけでない顧客サービスの見直しが今必要である。 |
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