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流通チャネル政策の陳腐化
保険毎日新聞:98.2(C2−09) |
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■製造業のマーケティングの基本が4Pと言われるマーケティングミックスであることはこの欄でも何度も取り上げた。プライス、プレイス(どこで売るか)、プロダクト(製品)、プロモーションの4つのPである。
金融サービスの場合にはプライスとプロダクトの差がなく、結果的にこれまではプレイスによる競争が行われてきた。これが将来的に有効であるか、という議論は別の機会に譲るとして、今回はこのプレイスについて考えてみよう。いわゆる流通チャネル政策である。 |
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●3つのパターンがある
さてマーケティングのどの教科書にも書かれているが、流通チャネル政策には3つのタイプがある。
・開放的流通政策:できるだけ多くの小売店、販売店と取り引きをし、市場をカバーすることを目的とするもの。食品や日用雑貨等最寄り品で販売の窓口をできるだけ広げ市場露出の機会を多くすることで消費者アクセスの利便性を高めることを意図するもの。ただし小売店頭、あるいは卸の段階で他社製品と競合し、また流通段階での仕入れ、販売努力が拡散するというデメリットを有する。
・選択的チャネル政策:有力かつロイヤルティのある小売店を選別し、取り引きを重点化する政策。自社の流通努力、小売店の仕入れ、販売努力の集中化を図る。流通活動をできるだけ効率化し、小売店の協力体制の維持を狙う政策。ただ1社がこれを行っても、小売店側はライバル会社とも同じ協力関係を結んだりするケースがあり、開放的チャネル政策と変わらない場合も多い。
●専属的チャネル政策の陳腐化
この3つのチャネル政策の中で最も陳腐化が著しいのが専属的チャネル政策であることは言うまでもない。これは保険等金融サービスも消費財メーカーも同じことだが、次のような要因が従来のメリットを損なう影響をもたらし始めたのだ。
1)販売チャネルにおける「アウトサイダーの増加」:例えば今では家電の系列店で買うよりも大型店で購入するウェイトが高く、系列店販売が大量生産→大量消費を確保するルートではなくなり始めた
2)流通維持コストの増大:チャネルの多様化が進みそれが消費者ニーズの底流である中で、専属的チャネルを維持するコストが増大になり始めた
3)専属的チャネル数の確保が売り上げ増に結びつかなくなり始めた:保険でいえば代理店チャネルや販売員の数で競うことである。営業にかかわる店や人の数がそのまま売り上げ拡大につながらなくなった。要するにチャネルの非効率化が進んだ
4)自助努力の停滞:専属チャネル政策はどうしても過保護な支援を伴い、結果的にチャネル側の自助努力を阻む結果をもたらす。顧客接点の現場であるにもかかわらず消費者の変化に即応できず、チャネルの保守化が進んだ。
●消費者意識とチャネル政策とのずれが目立つ
商品販売は原則的にはチャネル政策の確立によって成り立ち、メーカーあるいは金融サービス業はこれまで自社のマーケティングコストの相当部分を、この既存チャネルの維持に費やしてきた。ところがこのコストメリットが問われる事態が出現し、それは無視できない状況でもある。例えば次のような事態である。
1)化粧品会社は系列小売店による「高度な対面販売」を化粧品販売の本質と主張する。しかし消費者側は薬との併売店の店主に化粧品コンサルティングをハナから求めていない。
2)自動車販売においては、ユーザー側はすべての購買プロセスの主導権を持ちたがり始め、しかも系列別、車種別でなく車の百貨店の存在を求め始めた
3)家電販売において量販店側は系列店に劣らないサービス体制を整え始め、結果的に価格以外の要素でも顧客満足度の逆転現象が起こり始めた
といった具合である。
これらの事態はほぼ保険の販売でも共通であろう。販売チャネルが多様化し、しかも消費者が変わりゆく中で、自社の流通チャネル政策をどう見直すのか、やはり21世紀に向けての最大かつ緊急の課題である。
その方策とはどのような業種でも考えていることは同じである。
1)既存のチャネルのコンサルティング力、サービス力の高度化(質を高める)
2)既存チャネルを消費者ニーズや販売形態に沿ってタイプ分けする(チャネルの類型化と効率化)
3)チャネルの多様化に踏み込む
4)直販を検討する
当然のことながらこの3)と4)のシナリオは既存チャネルとの摩擦を生む。これがいわゆる「チャネルフリクション」である。
3)と4)を行いつつ1)と2)を推進する矛盾なきシナリオはないのか。これがチャネルを有する企業の最大の課題である。結果的にチャネルの選別、絞り込みに踏み込んだ業界もある。 |
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