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●ワイアードマン
一頃のパソコンブームもどうやら過ぎ去ったようだ。売上も落ちているし、家には使われないパソコンがゴロゴロしている。必然性なくしては普及するものも普及しない。
パソコンの使い道は様々だが、最も必然性の大きいものといえば、やはり仕事に使うのが一番である。何も会社で使うばかりではない。パソコンとそのネットワーク機能を活用すれば、働き方も様変わりする。今はやりの「テレワーク」「在宅勤務」も可能で、新幹線の車中でも仕事はできる。会社という1つの大きな屋根の下に集まって働く必要は低下し、時間と空間を選ばない仕事のスタイルが可能となったのだ。
とはいえこれにはメリットもデメリットもある。何よりも大きなメリットは、「生活の規制緩和」だ。背広を着て満員電車に乗る必要はなし。自宅で好きなスタイルで仕事が可能だ。ホームワーカーの多いアメリカではこうした在宅勤務の増加で、新たな市場が生まれた。ホームオフィス用の備品や設備、カジュアルウェアといったところが代表例である。在宅勤務を支援する様々なサービスも住宅街を拠点として成立し始めた。
もっともデメリットもある。始めのうちこそ、庭でバーベキューを楽しみ、平日に子供と遊んだりしていたお父さんたちもだんだん飽きてくる。会社でも家庭でもない第3の「居場所」を探し始めた。
離婚が増えたという説も有る。アメリカのお母さん達は、ちょっとしたキヤリアウーマンが多いが、家で後ろから亭主の仕事ぶりを覗き込み、「あら、あなたってこんな程度の仕事しているの!」と幻滅して叫んだのだ。日米問わず「会社に行ってこそ立派なお父さん」なのだ。
会社で働けば、玄関を出れば仕事とは「ハイ、サヨナラ」だ。これが在宅勤務だと無限に仕事をしてしまう。自律神経失調症が増えている、なんて話もある。こうした在宅勤務者もホームワーカーと呼べば、一見格好いいが、モデムと電話線で会社にしばりつけられている「ワイアード・マン」(ヒモ付きの人)という呼び方もある。
パソコンを駆使した働き方を格好いいととらえる必要もない。
●パソコンボランティア
海の向こうアメリカでは、パソコンやそれを介したネットワーク社会に取り残されようとしている人を「デジタルホームレス」と呼ぶらしい。パソコンに触れないだけでホームレス扱いされてしまうとは少々酷な話である。
アメリカほどではないが、日本でも「パソコンに触れない」と公言するのは少々肩身が狭い時代がやってきた。たかがパソコン、されどパソコンなのだ。
こうした時代に目をつけ、目下個人的にパソコンボランティアを実施している。対象は定年直前のお父さんたちである。お父さんたちは定年後に様々な幻想を抱いている。「女房と旅行でもして」などと口々におっしゃるが、肝心の女房の方は、「旅行なら友達と行きたいわ!」と実につれないのだ。お父さんたるもの、定年後の人生設計は自分で立てねばならない。そこで登場するのがパソコンである。
さてパソコンボランティアであるが、内容は実に簡単である。まずは趣味をじっくり聞き出す。これは実に多彩で、アユ釣りが趣味の人、大リークが好きな人、今はやりのガーデニングに凝っている人等様々だ。その趣味が分かったら、初心者向けのパソコンを購入して貰う。肝心なのは、必ずネットワーク機能を付けること。ネットワーク機能とはモデム等の機器と通信回線を経由して外部のパソコンや様々なネットワークとつながる機能のことなのだ。初心者にとってはネットワーク機能がないパソコンなどは、ただの箱も同然だ。始めのうちこそはゲームや年賀状づくりに利用するが、それでは長続きしないのだ。
パソコンとモデムを購入したら次はパソコン通信サービスやインターネットに加入する。ここで趣味が生きてくる。パソコン通信サービスやインターネットには様々な「サークル」のようなものがある。ホームページにはアユ釣り情報が満載であるし、意見交換や仲間づくりも可能なのだ。
こうした基本的なセッティングをして差し上げるのが、パソコンボランティアの内容である。
「好きこそものの上手なれ」とはよくいったものだが、こと趣味の情報が得られるとなると、多くの人は俄然熱心になる。手順さえレクチャーすれば、大概の人は簡単にマスターする。同好の士からメールが来始めればしめたものだ。パソコンという無機質な道具は実は、人間の間のコミュニケーションを創造するハイタッチな道具にも変身するのだ。 |