書評

小さなことにくよくよするな

月刊潮(98.12)


 例えばチョコレートがヒット商品になったとしよう。そこには2つの理由がある。1つは言うまでもなく味である。もう1つの要素は形状やパッケージなど、商品の見せ方の巧拙だ。


 さて本書は内容もさることながら、後者の要素が大きく関わっている。1つのテーマが2頁程度の読み切りである。「小さなことにくよくよするな!」「人の話を最後まで聞こう」といったテーマが100項目並ぶ。
ある編集者に言われたが、最近の若者は文章が連続した本は読まないそうだ。見開き2頁位で1つの話題が完結しないと、根気が続かないという。まして1頁目から最終頁まで通して読むことを強制されるような本を嫌うのだという。本書はどこから読んでもよい形である。こうした「選択の自由さ」がヒットの理由であろう。


 ただしいくらデザインの良いチョコレートでも味がまずければ売れない。問題は内容である。本書のサブタイトルは「しょせん、すべては小さなこと」である。小さなことにくよくよしない。まさに不況期を乗りきるにはこれしかないではないか!会社がつぶれた?それがどうした!と考えなければこの世紀末は乗りきれそうもない。売れている理由の2番目はこれである。時代背景と本のコンセプトがマッチしている。


 売れている理由の3番目は結構理想が高いことだろう。100項目の内容を分析すると、小さいことにくよくよしないための秘訣は「楽観論で生きる」「全てをありのままに認める」「他人に思いやりを持つ」「自省的に生きる」ことに集約されそうだ。これは言うはやすく行うは難しである。すぐ出来ることばかり書かれていたら、本は売れない。

(リチャード・カールソン著:サンマーク出版)


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