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売れない時代の売れない理由
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■ 世の中不況感一色である。政府の景気対策もイマイチぴんと来ない。盛り上がっているのは商品券を貰えそうな子供たち位である。
景気対策もあてにならず、頼みは自助努力しかない。だが売る側は結構他力本願だ。「売れない時代の売れない理由」は自らにあると厳しくとらえてみるべきだ。 |
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「ショップスマート」。これが今の消費スタイルの底流である。スマートとは賢いという意味であろう。自分なりの価値観をもち、売る側、作る側の嘘っぽさを見抜いてしまう。まずはこの賢い消費者群と売る側の営業政策のズレのチェックが必要だ。以下はこの点からみた売れない時代の売れない理由である。
1)貧弱な選択肢、一方的な提案
いくらローンの金利が安いとはいえ、住宅は売れない商品の筆頭だ。住宅展示場に行ってみよう。そこはキラキラゴテゴテの夢の御殿である。消費者の目に映るのはオプション仕様で出来上がった見栄えのよい素敵な家だ。 だがドアノブ1つでさえ、メーカーのショールームに行って選び始めた今の消費者にとっては、この夢の御殿が気に入らない。もっと自由に選択が可能で、予算に応じた出来栄えを確認したいのだ。この点今の住宅の提案方法は消費者ニーズとずれている。豊富なシミュレーションの提案が不可欠なのである。
2)商品開発力の不足
ビッグバンとやらで金融サービス業界は大騒ぎである。保険も例外ではない。某和歌山事件ですっかり消費者は保険について学んだが、自動車保険1つとってみても、消費者には選択の余地が少ない。そこへ来ての外資攻勢だ。割安さや消費者特性に合った細かな保険料設定を武器に、国内損保の弱点を見事に突いてきた。毎年の継続を当たり前と思い込み、消費者への情報提供やサービス提供を怠ってきた国内企業は目下大騒ぎである。だが考えてみればニーズに合わせた商品提案や価格努力などは他業界では当たり前の話だ。オリジナルな商品開発努力を怠ってきたつけが今回ってきている。スマートショッパーにとってこれまでの金融サービス業の商品開発体制がいかにずれているか再チェックが必要だ。
3)偽物の対面販売
百貨店不況が言われるが、これも自らの首を自分で絞めているようなものだろう。婦人服売り場に行ってみよう。そこはブランド別のショップで、店員さんは派遣店員の人がほとんどだ。百貨店とは場所貸しに過ぎない商売だ。
近づくと「あ〜ら奥様、それお似合いよ!」とか言ってブランドショップに引きづり込もうとする。今の消費者はこれが嫌いなのである。相手の好みやライフスタイルも確かめもせず、売りつけようとする販売方法の嘘っぽさ。これは偽物の対面販売でしかない。今の消費者は、商品はじっくりと自由に選び、必要な場合には高度はアドバイスを求めている。百貨店で行っていることはこの正反対だ。
4)過去の手法から抜けきれない
我が家に来る某自動車ディーラーの営業マンは不在がちの我が家で犬に営業して帰っていく。ポストには高級車のパンフレット。これで彼氏はおそらく営業日報に営業1件と書くのだろう。大体高級車を勧めることが気に入らない。犬がいることは分かるのだからワゴンのパンフレットを置いていくべきだ。大体「お宅もそろそろ高級車を!」とは大きなお世話である。平社員の時はマーチ、係長はカローラ、課長になったらローレル、部長になったらシーマなんて思っている消費者は今どきいない。確かに日本がまずしい時代には普段は安い国産ウィスキーを飲んで、ジョニ黒は神棚に飾っておく・・なんてこともあったけれど、今どきライフステージに合わせたランクアップ戦略なんてものは通用しないのだ。営業現場の手法が全く革新されていない。
5)取締役営業部長の弊害
不況が長引くと過去の成功体験を持った人が重宝される。従来の手法で営業コンクール1位になったような人が復活している。これまた始末に悪い。某リゾート企業の研修に行ったら海坊主みたいな営業部長が「いいか、お前たち、リゾートは女が狙い目だ!どんなブスでも色が白いとか言って褒めまくれ。すきがあれが手でも握るんだ・・」といって檄を飛ばしていた。聞いていた若い営業マンたちは「オレはあのオバサンの手を握らなくちゃいけないのか!」と恐怖の表情を浮かべていた。手を握るのも大事な営業手法だが、握られる側の身にもなって欲しい。過去の成功体験を担う取締役営業部長あたりを一層すれば日本の不況は解決しそうである。
6)新しい生活必需品への対応不足
ペット、ミュージック、アウトドア、ガーデニング・・といったジャンルはスマートショッパーの新しい生活必需品である。空気のように不可欠であるだけに、品選びの際は豊富な選択肢と納得価格を求める。だがこの新しい生活必需品の売り方が貧困だ。例えばペット用品。ペット屋さんといえば犬好きが高じてペットショップを開いたような生業的な店か、デパートのペット売り場位しか選択肢がない。最近でこそロードサイドの大型店が出てきたが、都会の消費者にとってはニーズを満たす場所がない。結果的に彼らは外国の通販に流れている。日本で一番大きいインドアペットショップと銘打った某百貨店のペット売り場ではアメリカで最も評判の悪かった、ペット用の自然食品が麗々しく売られていた。買う側は必需品感覚なのに、売る側は相変わらずの嗜好品感覚。ちなみにこの百貨店はペットショップのある新館の廃館を決めたらしい。
5)流通チャネル政策の陳腐化
街の小売店がすっかり自信をなくしている。取り分けメーカーの系列店など過去保護的環境にあった店が目立つ。これまた矛盾だらけである。化粧品メーカーは「対面販売こそ化粧品販売の本質」と言ってはばからない。だが対面販売をしているはずの系列店へ言ってみると、化粧品のケの字もわからなそうな頑固そうな店主が新ブランドをもちろん何のアドバイスもコンサルティングもなしに手渡してくれる。することはレジを打つだけだ。皮肉だが、この非対面性故にこうした小売店で化粧品を購入することを好む消費者もいる。わずらわしくないからだ。
こうした流通チャネル政策がいかに矛盾に満ちたものかはメーカー自身が自覚している。小売店側としては自助努力に道を踏み出すしかないのだ。
8)安易なセール手法
消費税分還元セールがすっかり人気だが、これはマーケティング的にみれば邪道である。大体セールとは時と場合、相手を選んで行うものである。5%割引を永久に続けることができない以上、効果は低減するし、一過性の役目しかないだろう。セール手法の対極はアメリカ小売業に多いEDLP(エブリディ・ロープライス;毎日是低価格政策)である。全ての商品が納得価格であることを社是としているのが有名な小売業ウォルマートである。価格とは仕組みである。EDLPを行うには自社のシステムそれ自体調整しなければならない。根本からの変革なのである。
日本企業もEDLPを標榜していたが、ここにきて一斉に安易なセール手法に走り始めた。セールは麻薬である。常に頼る手段ではないのだ。
まずは自らの売れない理由を厳しく見つめる必要がありそうである。 |
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