これでもその昔はS銀行系コンサルティング会社に勤めていた。このSは典型的・伝統的・日本的大企業の見本のような会社である。個人的解釈だが、これはダサイ、ウルサイ、センス悪い、判断遅い、ハンコ多い・・と同義語だ。新入行員は寮に入れられ管理され、運動会などは愛社精神の発露の場として極めて重視される。
さてこの会社を止めて8年経ち、ソーホー稼業を謳歌しているわけであるが、ここでメリットとデメリットを総括してみようと思う。
1.メリット
●気に入らぬ上司の顔を見ずに済む・下らない意見は無視できる:これが一番大きい。専門分野での個人の力量や見識が重視されるコンサルティング分野では、その道のエキスパートならいざしらず、そうでないなら上司などという存在ははっきり言って邪魔である。レポートを見せろとか言っても、せいぜいテニヲハをチェックするのが関の山だ。
●働く空間を自分好みにデザインできる:大体会社というところは美的な空間ではない。これは使っている茶器、インテリア、等を見れば一目瞭然である。働く環境としては実に不適切だ。これがSOHOになると、好きなようにデザインできる。本家米国でまずうるおったSOHOビジネスはホームオフィス関連商品とインテリア関連商品である。SOHOを始める場合にはまずは「足元の大きな犬」「座りごごちのよいイス」「おいしいコーヒー製作セット」「快適BGMシステム」「好みの絵」あたりから揃えよう。
●ソーホーであると逆に感心される時代である:クライアントとの会話で多いのが「従業員は何人いらっしゃるんですか?」といった類のことだ。昔なら「いや1人でやっています」とかいうと気の毒そうな顔をされたものだが、最近は違う。「従業員はネット上に存在するバーチャルオフィスでして」などというと、「ホー、最先端ですね!」と感心される。実に良い時代になった。
●情報格差が減少しつつある:その昔は独立志向の社員を引き止める理由として、「企業を離れると情報が入らないよ、商談のチャンスも減るよ!」などと言われたものである。これははっきり言って嘘であった。今や情報収集に関しては、大企業と個人や中小企業の格差は無くなったに等しい。インターネットのおかげである。これまでなら海外情報などは、それなりに大企業が独占していたが、今や全くオープンだ。中小企業や個人が最先端情報にアクセスできる仕組みが生まれている。
一方ホームページは個人やSOHOが社会に発信できるメディアだ。筆者のホームページなどはおよそ下らないおちょくり論文や駄文の山であるが、立派な論文だと勘違いして読んでくれる大企業担当者もいるらしい。
●ローコスト経営が可能:従業員を増やし、自社ビルの1つでも建てて、ベンツにふんぞりかえり、きれいなお姉さん秘書をつけたい・・などという願望がなければ、SOHO稼業はローコスト経営の見本である。従業員はネット上となれば、事務所は小さなスペースで済む。SOHO稼業では人件費より通信費に金がかかる位だ。ちなみにSOHOを運営するにあたり不可欠なサービスとは目下のところは
・電話関係(電話秘書、電話転送・・)
・オフィス用品宅配
・コンビニ
・宅配便
・会計事務所
の5つである。
●零細企業ほど親切にされる:これは独立してみて分かったが、日本は中小零細企業には実に親切な国だ。何よりも「中小=弱者」という認識が一般化しているので、行政サービスなどは行き届いている。一時金を借りる必要が出来たのだが「親会社が不景気でして・・」などと典型的下請け零細のフリをしたら、実に親切にしてもらえた。クライアント向けには最先端のバーチャルオフィス、行政機関向けには中小零細企業の使い分けが許されるところが日本のSOHOの良い点だ。
2.デメリット
●言いたいことを言い過ぎて嫌われる:フリーになると、およそ怖いものはない。もっともこれは人によるのかもしれないが、言いたいことは好きなように言える。あまり度が過ぎて最近はノムラサッチー並に一部方面では嫌われている。歯止めが利かない。
●スケジュールがギリギリになる:SOHOの良いところは、時間、空間面で働き方の制約がないことだが、一方でこれはとんでもないレベルの自己管理能力が必要だ。スケジュール管理能力の向上が不可欠だが、ある程度歳を食ってくると、「この仕事に何日かかる」というのは、体でわかる。逆に言えばそのギリギリの日がくるまで遊んで暮らし、いよいよ追い込まれて死ぬほど働くということの繰り返しだ。前もってやっておこうとは思うが、頭と体が言うことを聞かない。
●健康管理:これは言わずもがなのことである。先日皇后様もかかったというヤンゴトない病気で1週間入院するハメになった。とはいえ軽傷であれば、クライントにばれずに乗り切ることも可能だ。電話ヒショサービスや電子メールを駆使すれば何とかなった。
3.SOHO適性を見るチェックリスト
さて次にあげるのは真正SOHOへの適性を判断するチェックリストだ。よほどお暇な方はチェックしてみると良いでしょう。
「1.原則体1つでできる商売である」「2.大掛かりな設備投資や専門器材が不要」「3.手に職を持つ」「4.専門的な資格がある」「5.専門技能に関する料金チャージが可能な業務領域である」「6.労働集約的な部分の外注が可能で ある」「7.勤務時間、勤務場所に制約を受けにくい仕事である」「8.原価率が低い」「9.陳腐化しにくい業務分野である」「10.ネットによる協業体制が組みやすい分野である」「11.必要情報がネットを通じ入手しやすい」「12.1人称でものを言う訓練をしてきた」「13.人から意見を求められることが多い」「14.よい意味での自己顕示欲が強い」「15.外見、ファッション、プレゼンテーションノウハウといったものにこだわる」「16.コンピュータリタラシーがある」「17.チームプレーより個人プレーを好む」「18.大企業名で仕事をすることにあまり価値を見いださない」「19.表現能力を持っている」「20.専門技能についての社会的評価がある程度ある」「21.専門領域が多面的である(専門バカでない)」「22.楽観論者である」「23.スケジュール管理に自信がある」「24.自己管理が厳しい」「25.1人でいることに退屈しない」「26.SOHO設立へのある程度の資金がある」「27.家族の理解が得られる」「28.人的ネットワークが広い」「29.勤め先、取引先以外の知りあいの方が多い」「30.販促、営業、宣伝の口コミネットワークがある」「31.情報ネットワーク上の知りあいが多い」「32.サポーターがいる」
(結果の読み方;○30個以上→明日から可能、20〜29→腕を磨いて時期をまとう、10〜19→会社にしがみつくべし、0〜9→生まれ変わって別の人生に期待しよう)
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