デジタルコラム

企業ホームページ発展の3つのステップーd-commerceへのシナリオとはー

JAGAT.Info(99.12)


■ホームページの総ページ数は日本語だけで2900万ページだという調査結果を見たことがある。今年の始め位であったから今や3千万ページは越えているはずだ。単純に計算すると、1日50ページ読むとして(そんな暇な人はいないと思うが)、1600年以上はかかる計算になる。要するに人間の選択能力を越えた情報が既にネット上に流布している、ということなのだ。



ネット時代の寵児「評論家」

 さてこうした状況の場合、人間は何を頼るか、である。1つは情報技術を駆使したハイテク技術に頼る。インターネットの最大のビジネスチャンスの1つがこれでもある。リコ メンデーションエンジンだの、比較検討エンジンだのが、生まれている。もう1つが、人間の推薦に頼るという方法だ。何のことはない、評論家の役割だ。これをもっともらしく言うとHuman Filtering Agent(情報の取捨選択をしてくれるエージェント的人間のこと)だ。
 情報が爆発的に増えれば増えるほど、大事なのは1つは情報技術、もう1つ大事なのが人間の目利きということなのだ。
 さてこの話を聞いて、実にうれしくなったわけである。大体昨今はベンチャーばやりなので、会社を止めて独立する人が多い。理由を聞くと「ただの評論家でいるのはいやになったので」というわけだ。だが評論家こそネット時代の寵児。筆者などは虚業家を自負しているおり、もはやベンチャーに身を投じる元気もない。評論家稼業こそ生きる道。考えてみると、音楽評論家が作曲が出来るわけでもない。映画評論家が映画を作っているわけでもない。インターネットビジネス評論家がネットビジネスを手がける必要はないわけだ。
 というわけで、実に気楽な評論家稼業を続けようと思うわけだが、これまた無責任で良い。だが評論家に徹してみると、結構おもしろいことも見えてくる。例えば企業のホームページが典型だ。どうも眺めていると、その企業の体質や内部事情が透けて見えてくる。
 例えばこのホームページはどこの部署が主導権を持ち作ったか、てな事情は一目でわかる。例えば広報部主導型の場合、ここには特徴があって

・情報が絞り込まれておらず、てんこ盛り(商品情報から決算報告、2000年問題、環境問題、メセナまで)
・女子柔道部、美術館、バレーボール部、女流本因坊戦といった情報が充実
といった具合だ。大体企業スポーツや文化活動とインターネットカルチャーとは外部のやじ馬からみれば、実に相いれないような気がするが、広報部にとっては大事な情報だ。

 一方超大企業の場合は、次のような悩みがある。
「我が社はワールドワイドに展開しており、日本語も英語も必要だ」
「一般消費者向けの製品から原子力まで手がけており、どれも大事だ」
「お取引先様にもエンドユーザーにも情報を発信したい」

 日本語、英語問題は、トップページのボタン1つで解決することが多いが、製品の多様化は大問題だ。結果的に各事業部にページをわりふり、トップページでは全て平等に紹介するといった具合になる。これなどは、ホームページを管轄するセクションに指導力ないし、ウェブマーケティングに関する企画力がない事情が見え隠れする。

 一方単なる広報主導からマーケティング志向が明確になってくると、次のような特徴が出てくる。

・企業情報のホームページとマーケティング目的のホームページを切り分ける(サイトを分ける、ナビゲーションを分けるなど手法は様々)
・ホームページが単なる情報発信でなく、情報収集の位置づけを帯びてくる
・ホームページは一般消費者向け情報発信に適したツールと割り切り、ターゲットを限りなく消費者に絞る
・ブランド浸透、新製品キャンペーン、見込み客開発といった具体的課題解決とホームページの連動性を強める

 例えばあの巨大企業GEではトップページのタイトルは「Home」である。それ以外の人は別の場所に行って下さいとはっきり明記してある。これに対し日本の某家電メーカーは典型的なてんこ盛り状態。乾電池から原子力まで、系列店サポートから消費者サポートまで、株式情報から決算情報までトップ頁でご丁寧に紹介してある。

 まあやじ馬、評論家を自認してみると、こうした企業事情が実にわかるわけですね。この背景を推測するのは(大きなお世話だとは思うが)暇つぶしには実に楽しいものなのだ。

企業のホームページにはどうやら3つの発展ステップがありそうである。

1)ステップ1:ホームページのステップ(会社案内、基本情報の発信等最もベーシックな段階。広報部主導が多い)
2)ステップ2:インターラクティブマーケティングのステップ(ウェブがマーケティングに役立ちそうだと気づき、その仕掛けをマーケッター主導で行うステップ)
3)ステップ3d-commerceのステップ(流通革新や全く新しい価値の提案、企業変革にウェブが結びつき始めたステップ)

 ちなみに昨今はe-commerce,e-business等eを付けるのが流行りだが、これはもう古い。時代はd(ダイナミック)なのだ。
 ステップ3の代表はデルやあのシスコだが、日本ではほとんど存在せず。ステップ1とステップ2が多いが、後者については、米国の先端企業にもひけを劣らないレベルの事例も出現している。結局は、圧倒的大多数のステップ1企業と極めて少数のステップ2企業に二極分化しているということなのだ。

d-commerce適性度チェック

 さて例によってあなたの企業のd-commerce適性度チェックをしてみよう。ウェブ活用に関し、15個以上○がついた人は有資格者。すぐにホームページの見直しに取り掛かりましょう。5つ以下の企業はウェブから撤退しましょう。

1)ステップ2以降のシナリオを検討中
2〕全社的な体系の中で検討可能
3)トップマネジメントがウェブをよく理解している
4)ウェブ利用による具体的な効率化可能場面が想定できる
5)マルチチャネル化(オンラインもオフラインも活用するということ)が可能、かつ有用な場面が想定できる
6)顧客の不満解消に具体的に貢献できる場面が想定できる
7)ウェブ利用により顧客のCSが明らかに向上する場面が想定できる
8)既存のチャネルの陳腐化、営業方法の陳腐化が目立つ
9)新しい購買スタイル、購買意識が台頭している
10)ウェブユーザーとの顧客プロフィールの接点がある
11)接点は少ないが、新しい顧客層の開発に貢献しそう
12)エンドユーザーとの距離感が目立ってきた
13)マスマーケティングの効果が低減中
14)マスマーケティングの手法に馴染まない商品が増えてきた
15)従来の販売手法の効果が低減中
16)顧客維持コストが高騰している
17)チャネルフリクション解決のシナリオがある
18)オフラインの世界でのブランド力がある程度存在する
19)内政問題をクリアできる部署が担当可能
20)内部的な情報選択・優先順位の設定がある程度可能



to section index  to previous  to top  to next