今の時代、勤め人であるということは本当に美意識を問われる。優れた会社も時代の変化対応力を失えば、輝きを失ってしまう。社長にいきなり外人が就任することもあるし、合従連衡で合併し、社風が変わってしまうケースもある。本当に会社勤めは難しい。
ところで、この不景気、まだ就職の決まらない学生も多い。「どういう企業がいいでしょう?」「将来性のある会社の見極め方を教えてください」などと今ごろ暢気な質問をしてくる。女子学生が多いのだが、結構悲壮な覚悟をしている。ほんの1〜2年前は「ワタシも起業家になる!」とか息巻いていた癖に、今では「お茶くみ、雑用、ウェルカム」だ。だがそんなに自分を安売りすることもない。ここで女子学生の皆さんに、「入らない方がよい会社の見極め方」を伝授しましょう。
●タイプ1「ご機嫌よう」:
信じられないかもしれないが、今の時代、「ご機嫌よう」を挨拶にしている宝塚みたいな会社だってあるのだ。ここは老舗のメーカーだが、帰りの挨拶は「ご機嫌よう」だ。別にいいとは思うが、内部はチト変である。大正時代にタイムスリップしたみたいで、古きよき伝統を大事にする。女子社員の「シツケ」は徹底的に厳しく、先輩、後輩の序列にもうるさい。これはこれで大事なことだが、意欲に燃えるイマドキの女子学生が将来を托す会社としては、ちょっとどうかな、という感じ。まあ「守旧派」「保守派」企業は敬遠しておいた方がよいでしょう。
●タイプ2:「お当番」:
これもタイプ1の延長上だ。女子社員の「お当番」がやたらに多い会社。どのような当番かというと、お茶出しだの、湯沸かし室のお掃除だの、といったもの。その昔これでも会社勤めをしていたことがあったが、当時は「常務の世話」という妙な当番があった。朝7時30分に出勤してくるハタ迷惑な常務にお茶だの、オシボリだのを出すというもの。今考えると、この迷惑常務が会社に貢献していたかは疑問である。結局内紛の末、失脚していた。
この種の習慣があるかないかは、よくリサーチしておきましょう。これなどは、一見先端的に見えるマスコミ業界にも色濃く残る習慣である。
●タイプ3:「山のにぎわい」:
大体会議などに出席してみるとわかるが、女子社員がオマケのように参加している企業がある。「男だけではない」「女子社員を活用している」というフリをする会社。これも問題だ。スミの方でメモを取っているだけである。
もっとも最近はイキのいい女性がしきっているような会議もある。こちらの方は楽しい。そのデキル女性の風ぼうはまるで浜崎あゆみ風だ。髪は茶を通り越して金髪。余談だが、最近はメディア、ネット系ベンチャーの広報などに、この種のタイプが出現している。外観は「あゆ」そのもの。だが仕事はビシビシ詰めてくる。だが「金髪でも良い、仕事が出来れば」という会社は探すのがなかなか難しいのだ。
●タイプ4:「女性チーム」:
これは80年代後半によくあったパターンで、女性チームを作り、女性の目で商品でも作りましょう、といかいうもの。これは「我が社も女性を活用している」という社長の思いつきに過ぎないことが多く、ほとんど失敗した。だが歴史は繰り返す。最近では世の中に1周遅れの金融機関などで、この種のプロジェクトが復活したりしている。この種の話が対外的に報道される会社も敬遠しておきましょう。
●タイプ5:「合従連衡」:
この見極めが難しい。すごく女性の働きやすい会社であったのに、ある日突然合併してしまい、環境が激変する。だがこれは別に女子社員だけでなく、サラリーマン全てに関係する話だ。大体この種の合併は対外的には「競争力強化」だが内部的には大変だ。最近合併した某金融機関ではA社は女性が朝お茶を配るが、B社は自分で入れる。さて合併後はどうしましょう、などと真剣に悩んでいた。
C社が取引先と間抜けな契約をして、大損をした金融関係企業もある。当然ボーナスは半減だ。合併相手のD社の社員達はブーブー文句を言う。C社の社員は肩身の狭い思いをして暮らしているらしい。
合従連衡の可能性のある企業もまあ優先度を下げましょう。もっとも新入社員クラスであれば、影響はどうってことはなさそうだ。だが長年の習慣に染まってしまっている社員にとってはカルチャーの変化は大問題なのだ。
●タイプ6:「外資」:
女子学生は外資系企業にあこがれるが、これはよく考えた方がよい。大体最近のネットベンチャー系外資は見極めが早く、うまくいかないとなればすぐ撤退してしまう。大会社系外資にも問題がある。「顧客志向」とか「顧客満足」とか「全てはマーケティング、マーケティングが全て」とかお経のように唱えている某世界的大企業。その割にはマーケティングのレベルはイマイチのように思うのだ。社内会議のためにプレゼンテーション資料の山を作る。スローガンとなるアルファベット3文字位のキーワードづくりは好きだが、あまり中身はない。この会社の会長は「そんな時間があるなら、客のところを回れ!」といっていたはずだが、現場では資料やキーワードが自己増殖している。この種の会社もこれはこれで仕事をした気分にはなるだろうが、社会的に通用するスキルが身に付くかどうかは絶えずチェックする気構えが必要だろう。
●タイプ7:「受付嬢」:
美人の受付嬢が今もって存在感を示す会社も考えもの。これなどは、会社の玄関を入ればすぐわかる指標であるからわかりやすい。
●タイプ8:「ワーディング」:
言葉遣いのこと。吟味されてあるはずの対外的文書、ましてや社内文書のそこここに、本質があらわれる。某電話会社は社内文書で「顧客に周知せしめる」などと平気で書いているし、世間を騒がせた某メーカーは、取引先をまるで身内扱い。「○○させる」などと書いていた。これなどは入社前に見極めるのは難しいかもしれないが、ホームページを見るとわかるケースもある。某損保会社は代理店紹介のことを「拠点案内」などと書いていたが、少なくとも消費者には「拠点」などというイメージはないはずだ。いくら「お客様第一」などと唱えても、使っている言葉を見ると、ボロが出てしまうことがよくある。
●タイプ9:「社長室」:
これなどは、学生の身にはわかりませんね。社長室のありようも企業の体質を示す重要な指標の1つ。昔勤めていた某銀行系コンサルティング会社では、社長室から「コンコン」と妙な音がしていた。何をしていたのかと思えば、フカフカのじゅうたんの上で、トップがパターの練習。もっとも「働け、働け」と叱咤激励するタイプの社長になって業績があがるかというとそうでもないから、ゴルフ練習位は大目に見たほうがよいかもしれません。
●タイプ10:ファーストネーム:
日本人も名刺の裏に「マイク」だの「トム」だの刷り込んで、ファーストネームで呼びあっていた会社があったが、ついこの程倒産した。これも何かの指標になるかもしれません。 |